木の動きを考えて家具を作る「木材と木工の基礎」
エンジニア科2年生の林産業コースの実習「木材と木工の基礎」。
この授業は動いたり反ったりする木の性質を考えながら、実際にはどのように木の家具が作られているのかを学びます。学生達は既に大工合宿で木のモノ作りを体験していますが、実は家作りと家具作りでは材料の乾燥度合いや加工の技術、求められる精度など、異なる部分がたくさんあります。そのようなモノ作りの違いも含めて学びを進めました。
冒頭は破損した家具を見ることから
授業はアカデミー内の家具(什器)を見て回るところからスタートしました。
アカデミーは林業の学校ということもあり、無垢材で作られた家具が色々と使われています。中には、木の性質を考慮せずに作られていたり、作り手の予想を超えた環境の影響を受けて破損した家具もあります。それらを見ながら、それが何故壊れてしまったか?どのように木が動いたのかを個々の事例から学びます。
家具作りスタート
木の動きや性質が家具の構造に影響を及ぼすことが分かったところで、実際の家具を作りを始めます。乾燥材から材料を切り出す木取りが始まると、木の動きだけでなく、どのような方向に刃物を入れるか?どのように加工をすれば無駄となく材料がとれるか?考えることは色々あります。今回の実習では、10種類以上の木工機械や電動工具を使いながら、木取り、加工、成形と本格的な木材加工を体験しました。
伝統的な工具も体験
各部材の加工ができた段階で、木地の表面を仕上げる「鉋(かんな)削り」も体験しました。
機械鉋で平らにした面を手鉋を使いひと削りすると、木の手触りが全く別物に変わります。加工中にできた微細なキズや、繊維の逆目などをきれいに修正するのに、手鉋ほど素早くきれいに仕上げられる道具はありません。学生達は木の扱いと同時に、道具の違いや使い方についても体験的に学びます。
木組みの技術で家具を作る
家具作りには木組み(ほぞぐみ)の技術を使います。
木と木を組んで家具を作るときは、1/10㎜の加工精度が求められます。組立はそれらの加工が上手に決まっていたかがわかる瞬間。同時に、それまでパーツでしかなかった部材が家具の形に変わっていく瞬間でもあります。モノ作りのなかで、もっともテンションが上がる工程の1つです。
フレームを組み立てたら、上に乗る座板の成形、仕上げ、塗装をして、それぞれのパーツをくみ上げます。
完成!
全4日間の作業を経て完成した杉とヒノキのベンチです。
エンジニア科の学生も卒業後は木材の活用、モノ作りに関わる場面も出てくると思います。そんなとき、この実習を思い出してもらえたらと思います。皆さん、お疲れ様でした!
木工専攻 講師
前野 健