枝木を生かしてモノ作り「木工旋盤の基礎1」
木工専攻1年生の授業ではみんな大好き!木工旋盤の実習が始まりました!
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木工旋盤でコップを作りました
木工旋盤という機械をご存知でしょうか?
お味噌汁のお椀や野球のバット、おもちゃのけん玉やコマなど、木工旋盤(もしくはそれに類する加工方法)で作られたモノは意外と身近にたくさんあります。木工旋盤は材料(ワーク)を回転軸に固定し、くるくる回しながら刃物をあてて木を削る木工手法です。指物家具などと比べて設備が少なくて済み、また、単純な技術で始められながらも奥が深い表現方法があり、近年愛好者が増えています。
実は今年の1年生は夏からのプロジェクトの関係で、既に皆、木工旋盤を使った経験があります。そこで、今年の実習では反復練習と応用的な実践も兼ねて昨年より少し内容を変えて木工旋盤の授業を行いました。
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こまを削り出す練習
まずはセンターワークの基礎でもある、丸棒削りの復習から。そして装飾的に削る手法を組み合わせてこまの形を作っていきます。こま作りは完成した作品で遊んで楽しいだけでなく、刃物ブレなく、きれいに削り出すことができれば、芯ぶれの無いきれいな回転をしますので、技術の確認をするのにも最適です。
頭でイメージした形通りに削ることは、最初はなかなか難しい作業です。それでも、数を重ねるうちに少しずつ技術と出来ばえは向上していきます。
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アカデミーの材料庫には、このような小径木がたくさんあります
2日目からは材料を変えて、昨年の里山整備の実習で伐採した小径木を使ったモノ作りを行いました。選んだ材は山桜、アオハダ、クマシデ、ソヨゴ、ウリハダカエデ。ヤマザクラを除き、およそ木工の材料として聞かないような樹種ばかりですが、これがなかなか良い木工旋盤の材料になります。

ソヨゴは真っ白な木肌でシュルシュル削れます
お次に取り組む課題は「コップ」です。
今回は初めてということもあり、あまり内側を深く掘りこむのではなく、浅めの湯飲みくらいのサイズを想定していましたが、みな思いの外頑張って、なかなか立派なコップを作っていました。

スピンドルガウジでコップの内側を掘りこんでいきます
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コップの外形はこま作りと同じ要領で
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ナチュラルエッジ(入り皮)のコップにチャレンジする学生もいました
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枝木や小径木で作ったコップ
こうして出来上がったのが、このようなコップ達です。
このような小径木は樹種の特性もありますが、芯持ちでも割らずに使えるものがあります。そのような材料を活かすのに、この縦木の旋盤技術はもってこいの加工方法になります。
来月は使いやすい大きさの「お椀」作り、そして「お皿」作りにもチャレンジします。皆、しっかりと練習をして次の課題に取り組んでください。
木工専攻 講師
前野 健