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2023年04月02日(日)

課題の構造図を描く(参加型のまちづくり)

<2023.1.25-26> 今年度から始まった新しい科目、「参加型のまちづくり」。現地現物主義のアカデミーらしく、実践を通して学ぶために、スペシャル講師をお招きしました。

issue+design(I+D)は、全国でさまざまな課題解決プロジェクトやまちづくに関わっています。『持続可能な地域のつくり方』や『ソーシャルデザイン実践ガイド』など、著書も多数あります。岐阜県出身で、I+Dの立ち上げから関わるデザイナー、白木彩智(しらき・さち)さんをお招きし、「課題の構造図」について学びます。

白木さんと授業の打ち合わせをする中で、「できるだけリアルがいい。本当になにか、課題を解決したい人とやるのが、一番学びになる」ということで、別授業でもお世話になっている、美濃加茂市役所 市民協働部 まちづくり課にご相談しました。

美濃加茂市さんでは、連携で参画している「みのかも定住自立圏」において、様々なディスカッションをされているとのこと。その中で「地域の経済をどう循環させるか」という議論が生まれ、それについてぜひディスカッションを深めたいという提案をいただきました。

ということで、美濃加茂市さんからリアルな教材をいただき、2日間の講義のスタートです。

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1日目はまず美濃加茂市役所で、担当の酒向さん、小谷さんから、まちや連携する地域エリアの課題や現状と、ご本人が考える課題意識などを伺いました。白木さんが中心にインタビューし、学生が真剣にメモを取っていきます。

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夕方、アカデミーに戻り、白木さんの講義。
白木さんがこれまで手がけた事業の数々を紹介。デザイナーというしごと、そしてデザイナーとしてまちづくりに関わってきた白木さんの経験とアプローチから、まちとは?、まちづくりとは?について学んでいきます。

その後、美濃加茂市役所でのヒアリングを基に、課題を洗い出します。
まず、ヒアリングした内容から個々でキーワードを分解して、付箋に書き出していきます。

白木さんからは「付箋を書くときは、キーワードではなく、具体的に”課題”になるように書く」という指導が出されました。

全員で出し合いながら足りないところ、新しい気付きなどは、どんどん書き出します。ここから合流したメンバーもいたので、わからないキーワードは質問しながら書き出し、意味や内容の再確認にもなっていました。

1日目はここで終了。

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翌2日目は、いよいよ「課題の構造図」を描きます。

昨日書き出した付箋を全員で俯瞰しなが整理。その後、課題の中心を見出して付箋を配置しながら、因果関係に基づいて、それぞれのキーワードを関連づけていきます。

作業をすすめながら、学生同士で活発な意見が飛び交います。課題も視点によっては、他の因果関係との関連性が変わるため、まとまりそうになったり、またバラバラになったりを繰り返します。

午前中には、一度「課題の構造図」を完成しなければいけません。2時間あまり学生同士で意見を交わしながら、一旦できた地図をもって、美濃加茂市役所に移動します。

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午後からは、「みのかも自立定住圏」で連携している美濃加茂市、川辺町、白川町の担当のみなさんが、美濃加茂市役所に集まってくださいました。

アカデミー生が作成した「課題の構造図」の説明を受けます。

この地図をたたき台にして、集まった担当職員のみなさん、そしてアカデミー生も交え、さらに深いディスカッションがなされました。

普段、地域の課題に向き合っている行政職員のみなさんですが、日々の業務や課題の多さゆえ、ディスカッションしたり整理する機会が少なく、今回は良い機会になったという感想をいただきました。

また、バラバラに考えていた課題をつなげて考えていったときに、複数の課題につながるような”打ち手”も見えそうだ、という意見も生まれていました。

2日間という短い時間でしたが、課題を書き出す、整理する、つなげて考える・・・という一連の体験は、学生のみなさんにも新鮮だったようです。自身の課題研究に取り組む2年生は、早速今回参加したメンバーと一緒に、自身の「課題の構造図」を描いていたそうです。

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『ソーシャルデザイン実践ガイド』には7つのステップが示されています。今回の「課題の構造図を描く」は、まだ3つめのステップです。「まちづくり」は一朝一夕ではできません。

白木さんのような、プロジェクトに愛情を持って辛抱強く寄り添い、かつ勇気を持って前に進めることができる、”まちづくりに参加する人”を、アカデミーという学校としてどう育成していくか・・・。まだまだ模索が続きます。

それにしても、リアルな学びの合い場は、とても楽しかったです。白木さん、そしてご協力いただいた美濃加茂市役所のみなさま、「みのかも定住自立圏」のみなさま、本当にありがとうございました!!これを機に、ぜひ「里山で暮らす人をどうやって増やすか」の新しい取り組みが始まるといいなー、と思っています。

准教授 小林謙一(こばけん)