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2022年05月13日(金)

「”田舎”ってどこ?」ー 山村集落論 第1回目

<2022.5.12> アカデミーHPをご覧のみなさん、「田舎暮らし」に興味ありますか?

私は東京で働いた後、「田舎暮らし」に憧れてアカデミーに入学し、卒業後は13年間、岐阜県郡上市で移住促進の仕事をしていました。移住セミナーなど、都会に住む方へ田舎暮らしの魅力を伝える中で気づいたことがあります。

「自分にとっての、”田舎”ってどこ???」

・自然が豊かで、スーパーと病院が近いところ。
・都会のわずらわしいのが嫌いなので、近所に人がいないところに住みたい。
・駅前はさわがしいでしょう?駅から少し離れたところに住みたい(郡上はほとんど無人駅で、駅前はとても静かですが・・・)

などなど、セミナーに来る方、移住相談に来られる方の「田舎」のイメージは、ほんとうに様々なのです。

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・・・ということで、第1回目となる今回は、学生のみなさんに「はじめまして」の自己紹介の後、これまで住んだところや関わったとことをそれぞれピックアップしてもらい、<都会〜まち〜田舎>に、”超・個人的主観”でマッピングしてもらいました。

全国から多彩な学生が集まるアカデミー。「そこどこ?」という多彩な市町村名がたくさん挙がります。
それを”超・個人的主観”でマッピングを始めると・・・

「都会とまちは何が違うの? 人口?交通の便利さ??」
「同じ市の中でも、まちと田舎があるけど、そうするとこの市はまち?田舎?」
「”まち”でも、”街”と”町”は違う気がする」

・・・などなど、予想以上に(笑)白熱した議論が繰り広げられていました。
なかなか結論が出なそうなので、一旦ストップ。そうなんです、「都会」や「田舎」は、多分にその人の主観やイメージ、期待していることで大きく捉え方が違うんです。

さらに地域に住んでいる方は、愛着や誇りを持って「うちのマチは・・・」「うちのムラは・・・」とおっしゃいます。

アカデミーの学びは「現地現物主義」。実際に地域に入らせていただき、フィールドワークや、学生それぞれが研究をさせていただくには、自分の価値観だけではなく、相手の視点や価値観に寄り添うことが大切です。同じ言葉をつかっていても、そこには一人一人違う価値観、想いが内在し、コミュニケーションに影響があることを認識し、常にそのことを意識しながら地域に入らせていただく、という姿勢で臨んでほしい、ということをまず伝えました。

<学生の意識マッピング。授業の上での、あくまで個人の主観でのワークです> 

 

「言葉って曖昧だよね」・・・という事実の一方、アカデミーなので、当然言葉の定義はきちんと理解した上で”あいまいさ”を認めないといけません。

「都市」や「山村」など、地域を区分するのは行政施策的な捉え方の割合が大きいです。国の法律が大きく関わり、その定義が示されることが多いのですが、一般的にはあまり馴染みのない用語も多いのです。そしてその中身は難しい・・・。

山村や地域の活性化をための事業や活動に関わる人を増やしたいアカデミーとしては、教科書的にこれらを網羅的に覚えるよりも、「自分ごと」として事象を捉え、実践を前提に深くリサーチできる力を身につけて欲しいと思っています。

そこで今回は、「地域おこし協力隊」について調べてもらいました。地域おこし協力隊とは・・・

地域おこし協力隊は、都市地域から過疎地域等の条件不利地域に住民票を異動し、地域ブランドや地場産品の開発・販売・PR等の地域おこし支援や、農林水産業への従事、住民支援などの「地域協力活動」を行いながら、その地域への定住・定着を図る取組です。(中略)

 令和3年度で約6,000名の隊員が全国で活動していますが、この隊員数を令和6年度に8,000人に増やすという目標を掲げており、この目標に向け、地域おこし協力隊等の強化を行うこととしています。
(総務省HPより)

現時点で、全国で300件以上の地域おこし協力隊の募集があります。

学生は2つのチームに分かれ、全国の地域おこし協力隊の募集から、自分達が気になる募集を1つずつピックアップしてもらいました。そして、実際にエントリーするつもりで募集要項を読み込み、業務内容と、その背景にある地域の事情やねらいを推察してもらいます。同時に、募集要項でわからない用語はどんどん調べてもらいます。

                                                                    

「募集対象の”三大都市圏”ってどこ? ”都市地域”は??」
「ここは、人口が少ないから、働く人を募集している?」
「でも、こんな不便な”イナカ”だと、人が行かないよね・・・」
「年齢制限がある。若い人に来てほしい??」
「任期は3年限定だけど、3年終了したらどうなるの?」

・・・などなど、「地域おこし協力隊」をあまるしらなかったという学生もいて、対話は盛り上がりました。

「地域おこし協力隊」は国の制度で、特に「過疎」といわれる市町村が活用しています。学生の心配をよそに、これをきっかけに地域に移り住む若者も多く、定住して地域で活躍する人も少なくありません。

「地域おこし協力隊」という一つの事例から、こうした制度が生まれる背景、それを活用する市町村の実態や課題、それらを取り巻く法令やその変遷など、学生のみなさんが「山村」を「実践者になる」という視点で捉え方をそれぞれ深めてくれたら、と思います。

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本日の授業はここまで。
この視点をもって、今週末は郡上市明宝地域にフィールドワークで入らせていただきます。

卒業後、みなさんが生きていきたいのは、どんな”イナカ”ですか?

准教授 小林謙一(こばけん)