20周年記念特別連続講座 第4回「森林が育てる文化」
昨日10/19、京都林大名誉校長の只木良也先生をお迎えし、20周年記念特別連続講座の第4回を開催しましたので報告します。(本連続講座についてはこちらをご覧ください)
只木先生は森林科学に関わる方なら誰でもご存知の造林学、森林生態学の大家でいらっしゃいますが、今回は、森林文化アカデミーの20周年記念に合わせて、森林文化に関わるテーマでお話をいただきました。
最初に、涌井学長に20周年記念に関する挨拶と只木先生のご紹介をいただきました。学長もかつて只木先生のご著書で勉強した旨、述べられていました。
講座ではこれまでの研究活動のご経験を彷彿させる様々な地域の写真を織り込みながら、森林と人間活動の関わり、森林がどのように私たちの考え方に影響を与え文化を育んできたのかについて語っていただきました。
古くは日本書紀、古事記に書かれた樹種や神話の世界から読み解かれる樹木の利用、縄文の遺跡から発掘された物品に使われている樹種の紹介に始まり、その後、都や東大寺などの造営により森林が変遷してきたことなど、お話いただきました。
また日本とヨーロッパ、中近東の森林、気候の違いが我々の思考や文化に与えてきた影響なども話されました。倒木更新の写真を提示されながら、「湿潤森林型思考」の日本では輪廻転生の思想が育まれたと話されたのが印象的でした。また、日本の「湿潤森林型思考」では白黒をはっきりさせない曖昧なところを残す考え方であったのが、明治以降に乾燥砂漠型思考の影響を受けた西洋的思考が近代的なものとして取り入れられ、大局を見ずに目先のことで白黒つけたがるようになってしまったと話されていました。
今回の講座は森林と私たちの関係を見つめ直すとともに、様々な事象を関連づけて俯瞰的に考える大切さを学ぶきっかけになったと思います。
今回はクリエーター科の学生に加え、エンジニア科の希望学生の聴講もありました。エンジニア科学生は3林大交流で再び只木先生に再会することになりますので、学んだ内容をしっかり自分のものにしておいてください。
この講義の様子は録画した内容を、後日限定配信します。(林業専攻 津田)