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2021年11月07日(日)

2021エゴノキプロジェクト準備作業 〜シカ柵の設置

林業者や和傘職人が一緒に和傘部品の材料・エゴノキを収穫するイベント、エゴノキプロジェクトは今年が10回目。11/20(土)の本番を前に準備作業を行いました。この作業は毎年、エンジニア科の学生たちが「里山資源の様々な利用」の授業の一環で取り組んでいます。

授業開始の挨拶

 

エゴノキプロジェクト実行委員会からは、全国唯一の傘ロクロ職人の長屋一男さん、そのもとで技術を学ぶ長屋糸織さん、和傘職人の高橋美紀さん、林業のNPO法人・杣の杜学舎の澤田良二さんと藤吉智志さんが参加。エゴノキプロジェクトの詳しいことは、実行委員会が作るウェブサイトがあるのでそちらを参照してください。

長屋一男さんと長屋糸織さん

 

準備作業では、11/20の本番に全国から集まる参加者がスムーズにエゴノキを収穫できるよう、適寸の幹にテープを巻いていきます。傘ロクロに適した直径は4〜6cm。樹齢8〜12年ほどです。後で集計したところ、適寸のエゴノキが400本以上あることが分かりました。今年も全国の和傘の需要をまかなえそうです。

適寸のエゴノキにテープを巻く 適寸のエゴノキ

 

今年はもう一つ、新しい作業がありました。シカ柵の設置です。

実行委員会が岐阜県の森林環境税を得て資材を購入。杣の杜学舎があらかじめエゴノキを残して伐採しておいた20メートル四方の区画を柵で囲います。実はこれまで、エゴノキの切り株から出た芽をほぼすべてシカに食べつくされてしまい、森の更新が妨げられてきたのです。シカ柵は、これからも持続的に収穫を可能にするための切り札です。

エゴノキだけになった森は明るく、気持ちの良い空間でした。澤田さんと藤吉さんの2人で計5日間かかったそうです。

シカ柵設置区域

 

シカ柵は、まずFRP製のポールを立て、ステンレスワイヤを編み込んだ黒い網を張ります。さらにその外側にプラスチック製の緑色の網を張ります。二重の網で動物の侵入を防ぎます。

シカ柵の設置作業設置されたシカ柵

 

ここで伸び伸びとエゴノキを育てられると思うと、夢が膨らみます。母樹を残して種から実生更新させたり、種を取って関係者で苗を育てて現地へ戻したり、切り株から萌芽更新させたりと、いろいろな育て方を試すことができます。すでに和傘の産地である岐阜市加納地区の小学校では、子どもたちに試験的にエゴノキの苗を育ててもらう取り組みも始めています。

エゴノキ

 

11月とは思えない暖かい日差しのもと、快適に作業ができました。さあ、本番も晴れますように!

 

久津輪 雅(木工・教授)