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2018年07月14日(土)

7/27〜29弁当箱販売!『長良川(ながら)んちぼっくす』ができるまで②

今回お弁当箱が販売される『長良川てしごと町家CASA』がある川原町は、かつて長良川を使った流通にとって重要な拠点となる川湊でした。そして、奥美濃から輸送された沢山の木材や美濃和紙が陸揚げされ、それを扱う問屋町として栄えていました。それによって、美濃和紙を使った岐阜提灯、岐阜和傘、岐阜うちわなどの岐阜市の工芸品が生まれていきました。今回私が制作したお弁当箱は、その美濃和紙を活かしたデザインとなっています。

八角形のスギの箱の内側には透けるように薄い美濃和紙を貼り、蓋にはひし形の柄が入った落水紙を貼りました。落水紙とは、手漉きの和紙の上に型を置き、その上からシャワーのように水をかけることで模様をつけたものです。仕上げには漆を塗りましたが、和紙を貼った部分は漆を塗ることで独特な風合いが出るだけなでなく強度が増します。

八角形という形にしたのは、角に汚れがたまりにくくし、洗う時にも汚れを落としやすくするためです。しかし、綺麗な八角形を作るためには適切な長さと角度に材をカットするなど、正確な加工が必要となります。そのための作業方法を考えながら何度も試作を繰り返しました。なんとか綺麗な八角形を組み上げることはできましたが、そこまでが制作の5合目というところで、そのあとの漆塗りの作業にもたくさんの苦労がありました。

 

漆を塗る作業は下塗り、隙間を埋めるコクソ付け、和紙貼り、中塗り、上塗り、仕上げに2回の透き漆塗りというたくさんの工程が必要となりました。その上、漆は湿度と気温が高いと乾きやすくなるため、この時期はとても乾きが早くなります。慣れない作業にも関わらず、手早く作業をしないとムラになってしまいます。また、コクソ付けや和紙貼りでは細かい作業が求められ、綺麗に仕上げるのはとても難しい作業でした。

とても手間のかかる作業となりましたが、漆は汚れの付着を防ぎ、防水性、抗菌性も増すため、お弁当箱の塗料としては最適です。さらに、漆を塗ることでスギの木目が際立つとともに光沢が出て、見た目の美しさが増しました。和紙を貼った部分も、特に落水紙の模様が綺麗に浮かび上がり、漆という塗料の魅力を改めて感じることができました。ぜひ手に取って見て頂き、漆を塗られたスギの美しさや和紙の質感を感じて頂きたいと思います。

 

山路 今日子
(クリエーター科2年)

 

「長良川(ながら)んちぼっくす」展
2018年7月27日(金)〜29日(日)
11:00〜18:00
長良川てしごと町家CASA
500-8009 岐阜県岐阜市湊町29