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2017年04月13日(木)

鵜飼舟プロジェクト、始まります

森林文化アカデミーでは、長良川の鵜飼舟の造船技術を記録・継承するため、美濃市の船大工・那須清一さんとアメリカ人船大工で和船研究者のダグラス・ブルックスさんを迎え、実物大の鵜飼舟を1艘制作するプロジェクトを実施します。

日時(予定):2017年5月17日(水)〜2017年7月22日(土)

場所:岐阜県立森林文化アカデミー・仮設船大工小屋

制作スタッフ:
那須清一(技術指導)
ダグラス・ブルックス(制作)
マーク・バウアー(制作、製図)
古山智史(森林文化アカデミー2年、制作)
久津輪 雅(森林文化アカデミー准教授、全体調整)

目的:
長良川の鵜飼漁の技術(国指定重要無形民俗文化財)を支える道具である鵜飼舟の造船技術を調査・記録し、次世代へ継承すること。

制作スケジュール(予定):
5/17〜19 仮設船大工小屋の制作
5/22〜31 板揃え、敷板の制作
6/1〜8 立板の制作、敷板・胴付(腹板)・立板の接合
6/9〜16 二枚目(腹板)の接合
6/19〜27 三枚目(腹板)の接合
(6/28〜7/3 沖縄サバニレース調査のためダグラス不在)
7/4〜7/14 小縁の接合
7/17〜21 付属部品の制作、接合
7/22 進水式

 

長良川流域では古くから様々な木造和船が漁業、農業、運搬などに使われており、全長13メートルの鵜飼舟はその中でも最高級とされています。全国の和船にはスギが使われますが、長良川では水に強く丈夫なコウヤマキが使われるのも特徴です。

長良川には2人の現役の船大工の方がいます。その方々の技術をできる限り記録し、これからも美しい木の舟が長良川に浮かぶ光景が見られるよう、森林文化アカデミーでは鵜飼船を1艘制作するプロジェクトを実施することにしました。技術指導は2人の船大工のうち、約70年にわたり舟づくりに携わっている85歳の那須清一さんにお願いしました。制作と記録は、25年以上にわたり日本各地の船大工に弟子入りし、和船の造船技術を調査・記録しているアメリカ人船大工、ダグラス・ブルックスさんが担当します。

このプロジェクトには、森林文化アカデミーで木工を学ぶ2年生、古山智史さんも課題研究として制作に加わります。課題研究ではさらに、新たな需要の創出につながる小型の木造和船の試作も視野に入れています。

 

このプロジェクトには独立行政法人・東京文化財研究所に共同研究として加わっていただき、制作工程を映像で記録していただく方向で調整中です。詳細な映像記録が実現すれば、造船技術を継承していく上で大きな資産になります。

森林文化アカデミーや長良川うかいミュージアムで、ダグラスさんや那須さんによる報告会を行うことも計画しています。詳細は、決まり次第お知らせします。また、進水式は7月22日を予定しています。初めてのことであり予定通り進むかどうか分かりませんが、夏休み最初の週末であるこの日に、多くの方とともに完成を祝う場を設けたいと考えています。

 

制作に必要な約50枚のコウヤマキの板は、那須さんが所有するものを使わせていただくことになり、森林文化アカデミーに運び込みました。また1艘の舟には約1000本の釘が使われますが、足りない分を鍛冶屋さんで制作してもらっています。那須さんが使っている船大工用の鋸は、道具屋さんで目立てをしています。プロジェクトのスタートに向けて、少しずつ準備を進めているところです。

鵜匠さんが乗る舟はすべて、郡上八幡の船大工・田尻浩さんが制作されています。今回の舟は調査研究のための制作ですので、完成後は鵜飼用ではなく、市民や観光客の方に親しんでもらえる用途に使っていただくことを考えています。(材料代を捻出するため、有償でお譲りします)

このように多くの個人や団体のネットワークでプロジェクトを進める予定ですが、これからもたくさんの方々のご協力が必要です。ぜひよろしくお願いいたします。

久津輪 雅(准教授)

 

那須清一さんの釘打ちの様子