飛騨市・高山市へ1泊2日「岐阜を知る」ツアー
1泊2日でこれだけ中身の濃いツアーができるなんて、岐阜は本当に恵まれた県!そう感じた実習でした。
「岐阜を知る」の授業で、森林文化アカデミー・クリエーター科の1年生22人(+2年生2人)を連れて飛騨市・高山市へ行ってきました。この授業は、アカデミーと連携協定を結ぶ県内市町村について学ぶ実習です。林業、森林環境教育、木造建築、木工と、4つの専攻に関係する現場を選びます。
人口約25,000人の飛騨市は、いわゆる川上〜川下、つまり森林の伐採〜製材〜利用がコンパクトにまとまっているのが強み。林業現場ではこれまで木を皆伐し、まとめて付加価値の低い製紙用チップなどにしてきたのを、大きく育てたい木を残して択伐する「育成木施業」などに転換していること、家具メーカーが小径木をまとめて買ってくれるようになり流通が変わってきたこと、人工乾燥工程を短縮してニーズに即応できる試みに取り組んでいること、広葉樹活用コンシェルジュを置いてきめ細かいニーズのマッチングに努めていること、第3セクターのヒダクマが新しい拠点を作っていること、などを学びました。
飛騨市森林組合の中谷和司さん、柳木材の柳和憲さん、西野製材所の西野真徳さん、広葉樹活用コンシェルジュの及川幹さん、ヒダクマ代表の松本剛さん、そして飛騨市広葉樹のまちづくりの司令塔である飛騨市役所の竹田慎二林業振興課長と、オールスターにご登場いただきました。
人口約88,000人の高山市は、歴史ある建物、大きな家具産業、若い世代の新しい試みと、豊富なプレーヤーによるバラエティに富む取り組みが見どころ。古いビルを美しく内装木質化してゲストハウスを起業した中村匠郎さん、明治初期の優れた町家建築・日下部民藝館の保存活用に取り組むご当主の日下部勝さん・暢子さん、民藝館の隣を高級旅館に改修するプロジェクトに関わった井上工務店の井上涼太さん、去年から新社長として飛騨の家具メーカー最大手の飛騨産業を率いて地域材利用に取り組む岡田明子さんにお話を伺いました。ゲストハウスから日下部民藝館、飛騨産業ショールームはすべて徒歩です。天気にも恵まれました。最後に高山市内で漆の森づくりを始めた飛騨漆の森プロジェクトの村田明宏さんに現地を案内していただきました。春先に学生の一部は植樹イベントに参加したので4ヶ月ぶりの再訪ですが、苗はシカの食害に遭ってひどい状況。でもまだ生きています。これからが楽しみです。
飛騨市と高山市では森林文化アカデミー学生への奨学金制度があり、両市の取り組みに関心を持った学生は奨学金を得ながら学ぶことができます。
ご案内いただいたみなさん、ありがとうございました。
久津輪 雅(木工・教授)