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2016年07月26日(火)

道づくりと林業。 林業事例調査・第二弾~吉野林業編2日目~

みなさんこんにちは。今回は、前回の林業事例調査の続きである、吉野林業2日目の報告です。

 

2日目は、清光林業の岡橋清隆副会長にご案内いただきました。

写真は吉野の山々です。川上村の森林率は95%(全国平均67%)、そのうち人工林率は66%(全国平均41%)と驚異の数字です。さて、この広大な人工林から木をどうやって運び出すのでしょう?

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一つ目は、前回紹介した架線集材機で集める方法がありますが、これは設置や集材時に人件費がかかります。二つ目は、ヘリコプターで運ぶ方法ですが、高値で売れる吉野杉をもってしてもヘリのチャーター代はやはり高くつきます。そこで、清光林業で先進的に取り組まれているのが、道づくりです。

 

林内に入ると、岡橋さんの説明が始まります。

まずは等高線の地図を指して、岡橋さんに聞かれました。

「道がどういうところに入っているかわかりますか?」

よく見ると、白いところに入っていました。つまり、等高線の間隔が広い傾斜のゆるいところです。道づくりは、どこに道を通すかの選択が一番大切だと岡橋さんは言います。

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道には、所々に水抜きのためのゴム板が敷かれていました。

これにより、雨水が溜まって轍ができるのを防ぎます。土砂がたまらないように斜めに設置されています。

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200年生のスギ人工林です。スっと上に伸びたスギが本当に格好良いです。

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200年生のスギも道があれば、必要な時に必要な分を運搬できます。

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傾斜35°以上の急傾斜地ではときに、石を積んで道をつくります。

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道幅は2.5mが主流なので、それほど大きな機械は入れません。重機の先端にブレーカー(石を掘削する装置)がついており、取り外し可能なので一台で様々な作業ができます。林業機械は高額なものが多いので、設備投資の削減につながっています。

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土台の丸太を7寸釘でとめています。曲げずにリズミカルに釘を打つ姿は職人技です。

重機を自分の手のように扱い、私たちが説明を聞いている間にも作業はすぐ近くまで迫ってきていました。

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岡橋さんが師と仰いでいる大橋慶三郎氏が提唱する大橋式作業道についての説明書きです。

岡橋さんは壊れない道づくりを次の世代に受け継ぐため、日本各地で巡業されています。

林業は「あせるな、なめるな」だという、岡橋さんの言葉がとても印象的でした。

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下の写真は吉野林業創設の父、土倉翁の文字が刻まれた岩盤です。

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日本の林業は先人たちが積み重ねた努力の賜物です。今は、木材の利用を促す動きが盛んになっていますが、先を見据えた計画も必要だと考えます。先を考えるには、まずは現状を知り、そして過去に学ぶ。吉野の2日間は林業の未来、自分の未来を考える良い機会になりました。

 

報告:クリエーター科1年 松田麻子(ちゃこ)