第3期ぎふ木育指導員養成講座⑥が行われました!
第3期ぎふ木育指導員養成講座の第6回が11月17日(土)に開催されました。今回は、~「遊び・おもちゃ・木育」の融和と調和~と題して、森林文化アカデミーの森の工房で講義が開かれました。
松井教授からは導入の挨拶として、
「講座もいよいよ終盤に入ってきました。作る事ではなく、使う事の可能性を探り、どうやってそれを伝えていくかを考えてもらいたい。」
とコメントがありました。
そして早速本日のプログラムの開始です。森林文化アカデミーの前野健講師より、「木育に木のおもちゃは必要ない?」と題してミニ講座が行われました。
講義の冒頭で、前野講師から、木のおもちゃの良さとは何ですかと受講生に問いが投げかけられました。
「木のおもちゃの良さに対して、安心安全、素朴で温かいというだけでは、木育指導員の方には物足りないという事をお伝えしたい。2つの視点と3つの側面についてお話しします。」
「ウエットな視点はみなさんすでに持っているので、ドライな視点で見る事についても考えて欲しい。」
「日本人はおもちゃを道具として見る傾向がある。教育的な要素があるがそれが行き過ぎてしまうと教材となってしまう。」
「皆さんはそれぞれの側面を白と黒ではなく、グレーに、緩やかに捉えるようにして欲しい。そうする事で、いろんな話ができる素敵な指導員になれると思う。」
「木のおもちゃで遊ぶ事イコールぎふ木育ではない。ぎふ木育で大切な事はそこにメッセージを込められる事。」
前野講師から木のおもちゃの捉え方について解説があったのち、続いて、今回の企画者である、ぎふ木育推進員の福島氏の講座にバトンタッチです。
「午前は、木のおもちゃでの遊び方の手法をご覧にいれるので、伝えかたの参考にしてもらい、午後は実際に皆さんでプログラム化して形にする事で、伝え方を身につけるきっかけにして欲しい。」
そして、福島氏の自己紹介の後、木のおもちゃの遊び方の実例、進め方が披露されました。
「“き”は二つの字がある。“樹”だと森の中に入って遊ぶ、“木”だと何かを作って遊ぶ、使って遊ぶというやり方が思い浮かべられる。それぞれ色々なアプローチがある。今回は木を使って遊び、森を知るというアプローチである。」
と導入があった後、五感で木を感じるワークショップを行いました。
「目で見ればわかるが、五感で違いを感じてもらうことが大事である。」
そして、積み木に関連した絵本の読み聞かせを行い、積み木遊びへの期待感を高めます。ここは、読み聞かせの得意なスタッフの青山さんに交代。引き込まれるような絵本の読み聞かせが終わった後、いよいよ水の積み木で積み木遊びの実践です。
2グループに分かれた受講生は、水の張ったたらいを囲みました。まずは個人戦。水上で積み木を船の積荷のように積んでいきます。最初は自由に積むことから。それができたらだんだんとレベルアップしていき、最後はできるだけ高く積むことに挑戦しました。上手く積めず途中で崩れたり、積んでも他のメンバーが崩した衝撃波で一緒に崩れてしまったりと、中々上手くできませんが、受講生の皆様は大はしゃぎ。とても楽しんでいらっしゃいました。続いてグループ戦。同じように段階を経て積んでいきますが、今度はメンバー全員の積み木を使って積んでいきます。こちらもさらに盛り上がりを見せ、楽しんでいる様子が伺えました。
さて、積み木で遊んだ後は、福島氏によるパネルシアターと絵本の読み聞かせが行われました。そして、木は一つの命であり種から生まれていること、木を使うことは木の命を頂くことという点の伝え方の実例を示していただきました。
続けて木育のシオ・コショウと題して、どのような思いをどうやって伝えるのかという講義がありました。
「私の中で、木育についてお伝えし、どんなことをお伝えしたいか、何を大事にしたいかをお話しする。」
「木育で目指すことは特別なことではない。特別なことをしようとすると無理が生じる。だからシオ・コショウ的にして、加減を大事にしてほしい。特別感をなくしてほしい。」
「木育は色々あってよい。そのために大事なことは伝えること。そうすれば色々なところに広まってゆく。」
「伝えるときに、“はー”“へー”“ほー”を私は大事にしている。その人の日常につながれば、“はー”となるし、ストーリーが見えると“へー”となる。そして思いを乗せると“ほー”となる。」
福島氏の木育に対する思いや、大事にしていることなどをまとめてお話頂き、午前の部は終了しました。
午後は、いよいよ実践の場です。
3つのグループに別れ、それぞれ指定された場所・対象者を想定して、水の積み木を使った木育プログラムを考案してもらいます。
「あえて皆さんの専門を外してグループ分けをしている。プログラムにおける、導入や、まとめの部分を特に重点的に考えてほしい。」
という福島氏のガイダンスの後、グループワークが行われました。午前の体験を受け、実際にどのようなことを伝えたいか、どういう時間・人数で行うかなど具体的につめていきます。グループで議論しながら、皆様真剣な面持ちでプログラムを作成されておりました。
そして、いよいよ発表です。各チーム代表者がワークシートに沿って発表していきます。
「その時に何人くるかわからない、たまたま来る人もいて、そういった場合の対応も考えなければ。」
「その場で楽しかったというだけでなく、家でもやってみようかなというように、点が線になることが大事。」
「高齢者が対象なので、人とのふれあいや、記憶の中にある思い出を引き出すなどが良いと思った。ハードルが変わるので、あえて樹種を変えて話を引き出すということも方法だと思う。」
「木とのふれあいという目的だけでなく、子供たちの違う一面を知るなどお互いをさらに知るという目的にも使えると感じた。」
という福島氏のコメントを各チーム頂きました。
最後に恒例の木育カフェを行いました。
受講生からは、
「子育て中の自分にとって、いままで木のおもちゃに興味を持っていなかった。値段が高いし、アンパンマンの方が子供の受けがいいし、遊び方もあまりわからなかった。しかし、今日答えが分かった。視点を変えたら面白くなった。」
「木のおもちゃを使わないと意味がないと思っていたが、あるだけでも意味があると知って使いやすくなった。子どもの目に触れることが大切。」
「チームでプログラム作りをすると、いろんなアイディアが出てきて、楽しく考えることができた。人とつながることの力強さを感じ、心がほぐれるということを伝えていきたい。」
「(プログラム作りは)難しかった。障害者施設は普段知らない場所になる。“全ての人に木育を”のテーマであり、考えさせられた。」
「自分でWSをしようとしていた時なので、進め方、プログラムの立て方がわかった。ここまでつなげてくれた人、見えない部分をより感じることができた。」
「ただ、楽しんでもらうだけではなく、伝えたいことを明確に持つことが大事と感じた。」
といったような感想が頂けました。
今後、木育指導員として、伝えていく立場になる皆様にとって、今回のプログラムはこれまでの学びを統合し、実践に結びつける機会となったようです。
次回は12月8日、いよいよ最後の講座です。受講生の成果発表が楽しみです。
森と木のクリエーター科2年
若林知伸
6月からスタートしたぎふ木育指導員養成講座でしたが、インプットは終了しました。すでにアウトプットに動いている受講生が多く・・・驚きであります。最終回のプレゼンを楽しみにしています。
講座主任 松井 勅尚