立木のまま乾燥させる 梶本式立木乾燥法実践
チェンソーを立木に突っ込み切りする『梶本式立木乾燥法』、今回、奈良県吉野郡川上村から梶本修造さんが奉仕活動でお越し下さり、エンジニア科2年生の林業専攻生と、クリエーター科の林業・森林環境教育を専攻する学生を直接指導して頂きました。
最初に室内で30分ほど、吉野林業の特徴と、こうした作業を開発するに至った経緯や、これまでの試行錯誤など、経験に基づく考え方を説明され、その後に演習林のスギの前で、①幹の中心線の見方、②根の中心線の見方 などを学びました。
この作業は「チェンソー技術と言うより、眼で観察し、肌で感じるもの」と仰いましたが、学生達にはそれこそ初めての言葉に躊躇するばかり。
最初に梶本さんがチョークで印を付けて説明され、続いてチェンソー操作の見本を見せて下さいました。
立木は一本一本違うため、どのように突っ込み切りするかのマニュアルは作れないとのこと、ただ理論的には・・・と語りながら、簡単そうにチェンソーを操られます。
作業としては幹の中心に一つ突っ込み、根二本または三本の中心を切断するよう突っ込み切りする。
幹のどこから根が始まって、目指すべき中心はどこか。突っ込んでいる内にチェンソーが中心からズレていっていないか?
教員代表で杉本先生が突っ込み切りしました。 腕の皮膚でチェンソーが掻き出さす切り粉の水分を感じながら、チェンソーのガイドバーと幹の中心線とが一致しているか確認しています。
この作業は心材の含水率を40%台にするのを目的に実施します。最初の内はチョークをつかって、山側の地際線、下側の本来の地際線、幹の中心線、切断する根の中心線に印を入れます。
自分でつけた記しにチェンソーを突っ込みますが、これがかなりの重労働。
慣れない突っ込みに、キックバックするチェンソーが微振動するので、梶本さんが時折手を添えてサポートして下さいました。
難しいポイントでは、梶本さんが再び見本操作。
梶本さんは三ヶ所突っ込み切りするのに1分くらいしか掛からない。手際よく、ブレもなく、淡々と進みます。
再び、学生が突っ込み切り。
少し斜め上にガイドバーを向け、切り進める。 しっかり立木に正対し、腰も使って押し込むイメージで操作しました。
さて、今回作業を施した立木は約二ヶ月後、八月に伐採してみます。
それが楽しみだと感じる梶本式立木乾燥法だったのです。
以上報告、JIRIこと川尻秀樹でした。