温故知新。 林業事例調査・第二弾~吉野林業編1日目~
林業事例調査第二弾は、吉野杉の主産地である奈良県川上村を訪ねました。
今回は2日間にわたっての訪問のため、1日目と2日目に分けてのブログ報告になります。
1日目、まずは昨年6月に設立されたばかりの【吉野かわかみ社中】にて、吉野林業の歴史や概要、今後の展望などについてお話を伺いました。【吉野かわかみ社中】は『持続可能な吉野材の一環供給体制と情報拠点の構築』のため、行政や森林組合、木材の供給~加工販売までの各組織から構成されています。
次は、社中の代表で代々続く※山守(やまもり)の一人でもある下村さんの現場を見に行きました。
260年生のスギ人工林は圧巻の一言です。
※山守(やまもり)制度…村外の山林所有者(90%)に変わり、村民が「山守」として山づくりを担うという吉野林業の特徴の一つ。
500年続く吉野林業の特徴は、「密植」と丁寧な「多間伐」、そして「長伐期」です。木々の間隔を非常に狭く植栽する「密植」と、木々の間隔を空けすぎないよう何度も間伐する「多間伐」により、年輪幅が狭くて揃った、真っ直ぐで太い「通直完満」な木を育てています。そして、100年・200年かかって吉野杉が完成します。
260年生の切り株からは、密な年輪が見て取れます。
間伐する木には目印として屋号の印が押されています。
昼食を済ませ、午後からは架線集材を見学しました。
なんと、ダム湖をまたぐ1000m超の長い架線が張られていました。
そこを丸太が通ります。一体どうやって架線を張ったのか、職人技に感動しました。
集材地へ移動すると、先ほど吊られていた丸太にワイヤーの後が残っていました。
集材の機械も普段見るものとスケールが違います。手元の操作だけで絶妙な感覚で丸太を運び下ろします。
せっかくなので、学生も運転手気分を味わいます。
日中の見学を終え、夜は下西さんのもとで働くアカデミーOBが準備してくださったBBQでした。吉野の林業関係者や移住者の方などが大勢集まって、夜が更けるまで語り合いました。
さらに、今回宿泊した宿のご主人は林業者で、昔の写真を見せてくださいました。
左の写真では木馬道を自分の背丈を越える丸太を背負って運でおり、当時の作業現場を映す貴重な一枚です。右の写真を見ると、木馬道は滝の流れる断崖絶壁に建っているのが分かります。職人技が集結されており、私にはどうやって組み立てたのか想像もつかないほどです。
500年続く吉野林業の次の500年を繋ぐのは若い林業者や【吉野かわかみ社中】という組織です。時代の流れを感じながら山を守り続ける吉野の人々。彼らから多くを学んだ一日になりました。
次回、2日目は木を運び出す「道づくり」のスペシャリストである【清光林業】訪問について報告しますのでお楽しみに。
報告:クリエーター科1年 松田麻子(ちゃこ)