森のようちえん指導者研修「ぷーさんワークショップ」じっくりと深めることできました。
安全管理、森の動植物(有毒含む)、伝える技術、木工、森の生態、森林整備、アウトドアスキルなどなど、森のようちえん指導者のスキルアップを目指してアカデミーでは今までも多様な講座を実施してきました。その中でも体の安全と並んで何よりも大切で何よりも難しい「心の安全」を保証するための関わり方についての講座をリクエストにお応えして今年度も開講しました。昨年同様、参加募集を開始するや否や定員はすぐに埋まってしまうほどの大人気。こうした講座の必要性が分かります。
講師に来ていただいたのは、昨年度(と言っても3月ですが)もお越しいただいたぷーさんこと仲本桂子さん。ぷーさんは、徳島県にある自然スクール「トエック」の小学校の部のスタッフを30年以上続けられている大ベテランです。
沖縄のバンド「寿(kotobuki)」の名曲「もう愛しかない」をウクレレで歌いながらスタート。
まずは集まった21名の参加者たちの自己紹介と「今日何を学びたいか」「今何を感じているか」を共有。午後のワークショップで扱うことになるであろうトピックスをそこから集めます。
「教える側の人」(講師)が一方的に講座の中身や流れを決めるのではなく、「学ぶ側の人」(受講者)があくまで中心となって彼らが学びたいことを受けて、そのことについて一緒に考えて学びあえる1日を進めていくというのが大切です。ここが一般的な教育の現場や講座では見られないところなのかもしれません。自由な学校の現場でもこうして1日が始まるようです。でもそれが本当の学びのスタイルだと思っています。
今回のテーマとして皆が注目したのは「大人の介入の仕方」
子供たちの自主性を大切にする森のようちえんでは「見守る」「信じて待つ」などの言葉が独り歩きしがちな今日この頃。ややもすると「見守る」ではなく「見過ごす」「無視する」「容認する」ことにもなり兼ねません。
そこで午後は、現場の具体的な事例や悩みを参加者の皆さんからあげてもらいそれを元に皆で話し合うのではなく実際に演じてみる「ロールプレイ」を行うことで「体感的に」どうしたら良いかを学ぶことに。
午後の始まりはまた歌からスタート。今度は映画「カンタ・ティモール」から「星降る島」を歌いました。ティモールでは「あなた」と「私」の差がないとか。。素晴らしいことですね。子供達にとってみんながお父さんお母さんなんだそうです。「私のもの」といった「所有欲」がないだけでも随分と幸せな社会になるのかもしれませんね。
午後のロールプレイでは、「子供役」「大人役」それぞれをやってみることで、頭ではなく体感的に「子どものそういう時の気持ち」を感じてみるというわけです。
ロールプレイを演じてない参加者(オーディエンス)は、目の前でこの事例を演じているグループにどんな変化がおきているかをじっくりと観察します。その場の空気の流れ、雰囲気などが手に取るようにわかります。
「いじめる側って結構気持ちいいですね」
「悪気なく、何も考えないで流れで行動したらああなった」
「もっと自分たちのことを受け止めて欲しかった」
「大人の存在や介入がめんどくさく感じた」
などなど客観的に大人の視点で子供を語っている中では出てこないような意見が出て来ました。
役割や方法を変えて参加者たちは交代で何度も同じ事例を体験してみます。
最後に、ぷーさんが「大人役」を演じるのを皆で観察します。
今までまとまらなかった事例が、なんと見る見る間に落ち着いていくではありませんか。。これには演じていた参加者もびっくり。
そこには、単に技術的な言葉がけではなく、愛情たっぷりの、関心、寄り添い、受け止め、行動、が見事に表現されていました。しかもそれらすべては「頭」で計算されて出て来たものではなく、心でその場に反応してそのまま出て来たものでした。だから嘘がない。だからおさまってしまうんです。
受講者からは
「百聞は一見にしかずですね」
「ものすごいものを見せてもらいました。」
「その場で作られていくワークが心地よかった」
「ぜひまたやってほしいです!」
「頭ではなく心で感じて動くことの大切さを改めて実感しました」
との声。
ぜひまたやりましょうね。ぷーさんが「もう愛しかない」を最初に歌った意味がなんとなく分かりました。
ぷーさんありがとうございました。そしてまた来てくださいね。
なんちゃって先生 萩原ナバ裕作