森のようちえん指導者スキルアップ研修3回目「木のボディランゲージを知る 〜外見で危険木を知るために〜」を実施しました。
先月29日、今年の森のようちえん指導者スキルアップ研修(5回連続講座)の3本目を実施しました。
今回のテーマは、「木のボディランゲージ」。
ん?と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、
① 森で活動する指導者にとって、危険木を判断する視点は安全管理のために必要。
② 普段フィールドとして使っていてオーバーユースになりがちで負担をかけている木や森の健康状態を気
にしながら活動することは、持続可能に森を活用するためにも必要な視点。
③ 一つとして同じではない木の形が語る様々なストーリーを想像してみるだけでも楽しい!
森と人をつなぐ指導者にとって、森を何倍も楽しめるのは、とても重要。新たな扉を開く!
そんな理由からこの講座を企画したわけです。
講師は、樹木生態研究会の三戸久美子さん。三戸さんは、V TA(Visual Tree Assessment )という手法を開発したドイツのマテック博士の本を翻訳された方で、樹木医や大学の先生としても活動されています。
そもそもこのVTAとは、「木は過去と今の状態をすべて形に表して存在している」という考えのもと、木を切らずに、その木の形やついているキノコ、樹皮の様子などをもとに、その木が置かれている状態や過去に何があったかを判断する技術です。物理学的な視点が多く含まれていて、科学的な根拠に基づいたものです。
自分の家の庭木ですら伐採時には許可が必要なヨーロッパにおいて、その木を切るか切らないかをの判断材料としてこうした手法を多く取り入れているようです。また裁判の時にこのアセスメントデータが重要な意味を持ってくることもあるほど、ヨーロッパでは信頼されたデータです
はじめにちょっとした講義、レクチャー、木の仕組みの話を聞いたあとは、25名の参加者とともにいざ森へ。。。と思ったら、森の入り口にたどり着くまでの道すがらに見える木の形から過去を推測したり、木槌でトントン叩いて中の空洞具合を聴いてみたり。。。。道沿いの木を見るだけでもいろんな面白いものが見えてしまい、なかなか進めずに、午前は演習林の中に入れず終了(笑)
もっと話が聞きたいので、お昼ご飯を短めに済ませて、午後からは演習林の中の普段森のようちえんが活動している拠点である「四寸傘」へ。
四寸傘に到着後は、周辺の木の様子や、人間の利用によるインパクトの程度、木の健康状態の確認方法、そして枝打ちする際の位置などについての話を聞いたのち、チームに分かれて子供達の活動を継続しながらも木の根に対する踏圧インパクトを抑えるための工夫を考え、対策を実践してみました。
チーム内で「あーだこーだ」意見を出し合いながら、多種多様なアイデアや対処法がどんどん生まれ、出来上がったものは、単なる対策ではなく、まるで木の根の周りを飾るアートのようにも見えました。
木の不思議から始まり、木の形が気になって仕方なくなるような、形の理由の謎解き体験、そして最後は木に対するインパクトを最小限に抑えつつ森を活用していくためのワークショップに至るまで一日中大変濃い中身の研修でした。
参加者からは、
「木の形が気になって仕方なくなりました。」
「木のことをもっと知りたくなりました。」
「木の根を守るためのワークを今度実際に子供たちとやってみたいです。」
「木の生き方と子育て、何か通ずるものがあるような気がしました」
などの感想をいただくことができました。
次回の研修は、「やまんじ」こと伊藤栄一さんと「いろんな視点で森を見る」研修です。
スキルアップ連続講座を通して、参加者である指導者の皆さんの森を見る目や楽しむ気持ちがどんどん広がっていくのを
実感している今日この頃です。森っていいでしょ。
三戸先生、参加していただいた皆さん、ありがとうございました。
なんちゃって先生
萩原ナバ裕作