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2021年11月01日(月)

林業架線を学ぼう(主索検定編)

集材機を使って材木を集材するといっても集材機だけで山から引き出して来るわけではありません。機械集材装置という仕掛けを作って集材してきます。

機械集材装置とは、集材機をはじめ滑車やワイヤロープなど多くの器具や現場で使用される立木も含め集材のために設けられた設備全体をさしています。

上図(出典 「集材架線の基礎知識」林野庁林業機械化センター)はエンドレスタイラー式の索張りで、赤線は主索と呼ばれる索(ワイヤロープ)です。

図面中央の四角い搬器の下部に下がった鍵状のフックに材木を掛けて木を出してきます。

 

 

実は、この主索、集材機がある側の元柱とその反対側にある先柱と呼ばれる2本の立木の間に渡してあります。

図面では主索は直線で描かれていますが、実際には写真のように「中央に向かって垂れ下がり、たわんだ状態」なっています。

 

主索は、強く張ると搬器の走行はよくなりますが重い荷が吊れなくなりますし、逆に緩く張ると多少重い荷が吊れるようになりますが、搬器走行が悪くなり主索の疲労も増します。

つまり、丁度いい張り加減というものがあるので、これを検査するために「振動波法」という方法で計算して求めます。

ハンマーで主索を揺らし、その振動波が往復する時間をストップウオッチで計測して計算式を使い垂下量(たわんでいる量)を出します。

さらに、この数値を主索が掛けてある先柱と元柱の水平距離で割った値(中央垂下比)を出すと索の緊張具合が分かるので、緩めたり張ったりして、丁度いい具合に調整します。

索の緊張を調整するには、写真手前オレンジ色のヒールブロックと呼ばれる3連の滑車から出ている「引締索」を出し入れすることで調整できます。

引締索の調整は、人力では無理なので、五~七百キロをけん引できるチルホールを使って行います。

今回は、当初に上手く張ってあったので調整は不要でした。

林業専攻教員 池戸秀隆