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2018年09月10日(月)

木造建築入門・・・建築模型に挑戦する

エンジニア科の1年次では、全員が森林・木材の基本的な知識を学び、2年次でほぼ半分ずつの学生が林業、木材産業を目指します。

1年生の授業に「木造建築入門」があります。なぜ木造建築なのか?木材は、林業で生産された商品であり、最大の用途は木造住宅です。在来軸組み構法は日本の文化です。将来は木造住宅の施主になってほしいという想いもあります。

「木造建築入門」のとっかかりは松井匠先生と吉野の担当です。軸組み模型を教材としました。題材は、2017年度自力建設「里山獣肉学舎」。3坪ほどの小さな建物です。ここでシカやイノシシの解体実習を行います。クリエーター科木造建築専攻の学生が設計し、多くの学生が建設に参加して竣工しました。

この建物の30分の1の平面図、小屋伏図、基礎伏図、断面図などを学生に渡します。模型を作るための最低限の図面ですが、7枚もあり詳細に書かれています。学生にとって、たぶん初めて見るものばかりでしょう。いったい何を表現している図面なのか?そこで、現物を見に行きます。学生は、図面の見方、縮尺の意味、「いの一番」からはじまる番地(座標)の仕組み、どの方向から見たものか、断面を表現しているものはどれか、部材の実際の寸法感などを確認します。

それから部材の名称です。基本形は、土台、柱、垂木、梁、棟木、小屋束ですね。それが、奥行きを持つと桁、柱と柱の間に間柱という具合に、すべての部材に固有の名称があることを説明します。

教室にもどり、いよいよ模型の製作です。その前に、カッターナイフの使い方を教えます。左右方向でなく奥の方から手前に、一度に切断するのではなく少しずつ何回も切り込みを入れる、常に切れ味を維持する、とういう具合に。

誕生日順で決めた4班に分かれ、手分けして、まず基礎をつくり、その間に土台や柱の部材を「製材」します。丸太から製材というわけにはいかないので、建築模型用の3mm厚、4mm厚のバルサ材を使い、30分の1の縮小になるように、カッターナイフによって「製材」します。120角の柱は模型部材の断面4mm角ですが、90角の垂木だと3mm角になり、これぐらいの細さになるとなかなか難儀です。さらに筋交いは90×45の割材ですから、模型では3×1.5mmとなり難易度は相当高くなります。太さが一定しない、何回かやり直すがなかなかうまくいかない、もう限界かな、というところまで待って、教員の実演です。

ケガキは、鉛筆だと線の太さで精度が落ちるので、鋼尺の目盛を見ながらカッターナイフの刃先で印をつける。椅子に座わるよりも立った姿勢の方が刃物を真っすぐにあてることができ、かつ大きく動かしやすい・・・ということを助言します。少しの工夫で、作業効率と精度が上がることに気づいたことでしょう。

小さな模型ではありますが、2日間で、部材の名称を覚え、精度よく効率的に工作をする工夫を体得し、チームワークの大切さを知り、達成感を感じることができます。そして教員にとっては、学生の個性を知る機会でもあります。学生が木造建築って面白そうだと感じたならば、授業は大成功ですね。2年次には「自力建設」で実際の建物を建てます。

森林文化アカデミーでは体験型の授業にこだわります。(木造建築 吉野安里)