家具業界最大手・カリモクの見学 ①知多カリモク
森林文化アカデミー木工専攻では「木工事例調査」の実習で、愛知県東浦町にある家具業界最大手のカリモクの工場を見学しました。きっかけは、多様な広葉樹の利活用に取り組む飛騨市で、普通なら製紙用パルプの原料にされる小径材をカリモクが家具用に購入するようになったと伺ったことでした。12月1日に3つの工場とショールームを1日かけて見学させていただきました。終日引率していただいた商品管理部長の榊原岳広さんをはじめ、カリモク社員のみなさんにお礼を申し上げます。
3回に分けて学生たちがレポートします。第1弾は木取りや加工を行う「知多カリモク」から。
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知多カリモクはカリモクグループの資材調達の中枢機能を担い、海外及び国内から丸太を仕入れ、東浦カリモクなど製造機能部門に加工した木材を供給しています。知多以外にも北海道、秋田、マレーシアに同様のグループ会社があり、材の小回りの利いた有効活用を目的として、それぞれの産地に工場を配置しているとのことでした。
有効活用の中には通常ならば家具メーカーでは使われない広葉樹の小径材活用も含まれ、短尺でも細く加工の上、フィンガージョイント等で接着して幅広の材として活用したり、節ありでも集成材の心材として加工、表面に薄い良材を張ることで有効活用を進めています。小径木を活用した製品のラインナップ化もすでにされていました。
本来はこのような小幅材は曲木とは相性は悪いそうですが、接着剤を工夫したり、挽き割って薄材にした上で積層したりすることで曲木加工を可能にし、脚や椅子の背板としても活用されていました。
また、飲料メーカーの所有林の間伐材を使用した家具のラインナップを作るなど、資源の最大限の活用を目指し、実践されているのが印象的でした。
資源の活用という意味では、短尺材(長さ150mm以下)としても使用できない端材は工場内でボイラーの燃料として活用され、その蒸気は乾燥工程や曲木工程の熱源等に有効活用されていました。資源を無駄なく使い切るという意味では、自然乾燥時に材と材に挟む「桟」ですら、1ミリ単位で削り、繰り返し使用しているという姿には驚かされ、企業としての社会的責任やSDGsへの対応を果たしつつ、同時にコスト削減を行う姿に感銘を受けました。
また、工程内の材の移動がバーコードで管理され、大量の材の選別も高度に機械化・システム化され、一人で行われていました。木取りでも一度に複数の刃でカットされていました。省人化と工程改善が着実に行われ、常に前進を続け、競争力に磨きをかけているからこそ、トップメーカーとしての地位があることも感じられました。
1人や少人数で家具を作る木工房とは対極のもので、工業製品を効率的に、高い品質で作るためのモデルとして興味深いものでした。今後木工の仕事に携わる自分がどんな価値を提供してくべきか、考えさせられた見学内容でした。
工場内をご案内いただいた三輪義保さんと平野さん、お忙しい中、個々の質問にも丁寧にお答えいただき、ありがとうございました。
文責:根上拓(クリエーター科木工専攻1年)、鈴木みなも(クリエーター科木工専攻2年)