大径木伐倒・集材プロジェクト授業(伐倒編)
演習林から大径木を伐り出すプロジェクト授業を開催しました。
プロジェクト授業とは、日頃の学習では習得できない、より深い学びのため正規授業として認定し実践するものです。
今回は、演習林にある胸高直径45㎝程度のヒノキ大径木を12本伐倒し、さまざまな林業機械を使って山から材を運び出す実践をとおし、その技術と技能を学ぶという内容で実施しました。
また、運び出した材は、現在、建設が進められている森林総合教育センターの正面の構造材に使用されることになっています。
5月28日に立木伐倒の前処理として立木乾燥させるため、外部講師としてお世話になっている奈良県の梶本さんにお越し頂き、チェーンソーによる根元の突っ込み切りを行い、通水をある程度遮断し乾燥させる技能を実習しました。
それから2か月後の7月29日、30日の2日間で立木を山の上側に倒す上方伐倒を行い、枝葉を付けたまま葉枯らし乾燥させました。
上方伐倒は下方伐倒に比べ伐倒時の材へのダメージが少なく、また、後工程の集材もしやすいのが利点です。
通常、木は日の光を受けやすい谷側に枝が伸びるため、谷側に重心がありますが、上方伐倒は山側に倒すため、牽引具のチルホールを利用して引っ張りながら倒します。
この時、木を引くため立木の幹にハシゴを掛け、高いところにワイヤロープを取り付けますが、使用機材も重く、時間もかかることから、今回は径16㎜のクレモナロープを使って、ロープ投げの要領で幹に沿って上げて行き、チルホールで牽引することにしました。これにより重い機材の運搬の労働負荷が省力でき、設置時間も短縮することができました。
伐倒する時の受け口は、通常よりやや鈍角に作り、林床斜面に伐倒木が倒れても受け口の斜め切り面が水平切り面に当たって材が裂けるなど悪影響が出ないよう気を付けました。
また、伐倒時に起こる芯抜けや根元が裂けないよう「芯切り」や「オノ目(ヨキ目)」を入れることで、材の品質を確保する細工も実践し、その技能も身に着けました。
実際に伐倒してみると、つるが切れていく瞬間の音が、パリパリと明らかに乾いて裂けていく音で、この時期でもライターで火が付く程度まで乾燥していました。
さて、ひとまず伐倒が予定通りに終了しましたが、これらの大木を如何にしてトラックが着ける広場まで出材するのか、いくつかの案を持ちつつも、最適な出し方に悩んでいました。(集材編につづく)
教員 池戸秀隆