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2020年09月30日(水)

令和2年度 第12回 岐阜県地域森林監理士養成研修を開催しました

1. 野生動物に関する関係法令      10:00〜11:00

 講師:岐阜県環境生活部 環境企画課 生物多様性企画監  藤掛 雅洋

 

 この講師では、鳥獣保護管理法の概要と県が野生動物管理にどのように関わっているのかについて学びました。

 法律では、原則、野生動物の捕獲や飼育をすることは許されていませんが、野生鳥獣管理を目的とした個体数調整(増えすぎたニホンジカ等の頭数管理のための捕獲)、被害防止捕獲(農林水産業への被害防止のための捕獲)は行うことできます。

 被害を防止するための個体数調整や被害防止捕獲は、闇雲に捕獲をすると言うことでは被害の減少にはつながらず、我々の生活に対して悪さをしている野生動物を捕獲しなければいけないことについて乗鞍のニホンジカ被害対策の実例に基づき紹介しました。

 また、野生動物の頭数管理を行っていくためには。狩猟免許を多くの人に取得してもらい、捕獲を行うことができる有資格者を増やすことが重要であると説明がありました。

鳥獣保護管理法を説明

 

2.野生動物の捕獲      11:00〜12:00

 講師:岐阜大学 応用生物科学部  特任准教授  池田 敬

 続いて、岐阜大学応用生物科学部 池田特任准教授から、ニホンジカの捕獲の方法について学びました。

 ニホンジカは、捕獲に失敗すると危険を理解した状況(スレジカ)になり、生息域と生活行動を変化させ、捕獲しにくくなることが知られています。このため、生息地毎に行動様式(活動時間、食物)を把握し、理解した上で頭数管理や被害防止捕獲を行う必要があります。

 講義の中では、講師が行った取組事例をもとに、『生息状況の把握の方法』、『生息状況・生活状況に応じた捕獲の方法』、『誘引の方法』に紹介されました。また、餌に醤油をかけるとニホンジカが寄ってくるといった情報提供もありました。

 今回の研修では、これらのことを踏まえて、趣味で行っているハンターではなく、捕獲管理の専門家が必要になっていることを学ぶことができました。

ニホンジカの捕獲を説明

 

3.現地研修(野生動物の捕獲対策)      13:00〜16:00

 講師:岐阜森林管理署 総括地域林政調整官 橋本 角則

            主任地域林政調整官  安達 孝博

    七宗森林事務所 森林官 金森  晋

    七宗森林事務所 森林技術員 福井 孝広

 午後からは、会場を七宗町内の国有林に移し、これまで午前中で学んだことを基に実演をしていただきました。

 最初に、獣害対策用の罠について解説いただき、設置場所や設置の仕方のポイントについて学びました。

 例えば、囲いわなを設置して、うまく一頭が捕獲できたとしても、他の群れからは、『ここに罠がある』と学習し、また、罠にかからず失敗したとしても、この経験によってスレジカ(学習したニホンジカ)になってしまうことについて学びました。

ニホンジカ捕獲モデル事業地での現地研修

 

 2日間の獣害対策に関する研修で、個体数調整や被害防止捕獲を行っていくことは、常に動物との知恵比べとなり、捕獲を行う者は、野生動物の生態や行動様式を踏まえて取り組んでいく必要があることを学びました。