七宗国有林で、野生動物保定技術を学ぶ~プロジェクト授業「野生動物捕獲技術」
7月25日、プロジェクト授業「野生動物捕獲技術」の一環で、七宗国有林に出かけ、野生動物保定技術を学びました。
ご指導いただいたのは、松嶋総括地域林政調整官をはじめとする、岐阜森林管理署、森林技術・支援センターの皆さんです。
深刻化するシカによる森林被害対策を考えるうえで、防護ネットやツリーシェルター等の防除技術とともに、生息密度を管理するのための捕獲技術が不可欠であることは言うまでもありません。
銃所持のハードルが高い日本において、捕獲は罠猟によることが多く、中でも猟具が手軽で、設置が容易なくくり罠が広く用いられています。
しかし、罠猟は、生け捕りであるため止めさしが必要となります。特にくくり罠は、ワイヤーの長さだけ動物が動き回れる余地があり、シカならまだしも、イノシシがかかった場合には、十分な装備と技術をもって向かわないと安全で速やかな処理を行うことはできません。また、罠には、カモシカなど対象獣以外の動物が掛かることもあり、傷つけず放獣する手法も考えておかなければなりません。
そんな訳で、この日は、罠にかかった動物をどう取り押さえるか(イノシシやカモシカが掛かったらどうする?)をメインテーマにご指導をお願いしました。
メインで講師を務めていただいたのは、岐阜森林管理署の松嶋総括地域林政調整官。松嶋さんは、自らも罠猟師として、地元の有害鳥獣対策に取り組まれており、午前中の座学では、これまでの経験をもとに自作された、様々な保定具を持参いただき、また、それらの道具を駆使したイノシシやカモシカの保定作業を収めたオリジナル動画を見せていただきました。。
イノシシに口輪をかけて取り押さえるところや、カモシカの顔に袋を被せて落ち着かせ、罠を外すところ、様々な道具の使い方などがよくわかる、大変参考になる動画で、昼食中も何度も繰り返し拝見させていただきました。
また、この日は、大変幸運なことに、国有林で行われている職員捕獲の取組で設置した罠に、イノシシが掛かりました。午後はその現場に移動し、保定から、止めさしに至る一連の作業を見学。午前中に見た動画そのままの光景を目の当たりにすることができました。これこそ、現場、実学! 学生にとっても本当に貴重な体験となりました。
松嶋さんに向かって突っかかるイノシシ
捕獲されたのは、35kgほどの雌イノシシでした。それでも、毛を逆立て全力で突っかかってくる気迫に圧倒されそうになります。
とどめを刺され、横たわるイノシシは、一回り小さく感じます。
保定作業を見学ののち、様々なくくり罠を紹介いただき、設置作業も体験させていただきました。
様々な跳ね上げ式くくり罠
くくり罠設置を体験
松嶋さんをはじめ、国有林の皆さん、今回の授業では本当にお世話になりました。今後とも、ご指導、ご支援をよろしくお願いします。
また、七宗町に事務所を有する可茂森林組合さんには、座学会場をご提供いただきました。ご支援有難うございました。
以上報告は、担当 伊佐治でした。