パソコン利用! かんたん構造解析
木造建築の新しいかたち(その188)木質構造に関する住育の取り組み
実務者のスキルアップをする住育:専門技術者研修「木造建築の構造性能検討ツール演習」を開催しました。
「木造建築の性能設計は難しい」と感じている建築実務者は非常に多いと思います。本研修では、パソコンを利用して、木造建築の性能を検討する演習を行います。パソコンを利用することで、木造建築の性能検討を比較的容易にできるようにすることが目的です。
地震建築基準法では大地震に対して「倒壊防止」という基準であり、換言しますと、「壊れてもいい、倒壊しなければ・・・」という基準です。大きな地震が発生すると同規模程度の大きな余震も生じますので、技術的にはこのような複数回の大地震に対する検証なども必要であると考えます。その検証方法の一つにWall Stat Studioの利用があります。
この研修では、複数回地震の検証も可能なWall Stat Studioを利用した解析を行います。後半では参加者各自のプランを入力して解析を行い、最終回の公表会にてその報告をしていただきます。
第4回は、講評会(次回)へ向けて、効果的なプレゼン資料の作成作業に取り掛かりました。研修参加者の皆さんは、各自のプランを入力する作業と、解析条件を変更しながら解析を行いました。
適宜、質疑応答をしていきました。解析モデルについての質疑がありました。
そもそも、構造解析をする際に、①「実際の建築物」を、②適切な「構造モデル」として整理し、③自分が見たい部分の適切な結果を取得するための「解析モデル」に置き換えます。①から②へのモデル化も少し慣れないとスムーズにいかないことがあります(例えば、実際は1本の部材だけれども、節点を設けて複数の軸材要素に分割するなど・・・)が、②から③へのモデル化についてはテクニックが必要な場合もあります。
例えば、トラス要素に置き換える際に、①当該部材の両端を滑節とする方法、②当該部材に接続している部材の端部を滑節とする方法、③当該部材の断面2次モーメントをゼロに近い数値(理論的にはゼロにしたいのですが、ゼロだと解析ができません。)にする方法、④当該部材の両端に短い長さのバネ要素を設置してその回転バネの回転剛性をゼロとする方法など、さまざまな方法があります。解析ソフトの癖もありますので、適切に解析モデルをつくる必要があります。
皆さん熱心に研修に取り組まれていました。
教授 小原 勝彦