バウビオロギーセミナー 森林文化アカデミーで開催
バウビオロギーセミナーが森林文化アカデミーで開催されました。
バウビオロギーとは、健康や環境に配慮した建築について考えるドイツ発祥の学問で日本では建築生物学と訳されます。私もバウビオローゲの資格を持っています。
今回は、日本バウビオロギー研究会を主宰されている前橋工科大学の石川恒夫先生、住宅における電磁波の第一人者の㈱レジナの土田直樹さん、土建築で様々な可能性を魅せる建築家で岐阜女子短大の畑中久美子さんを講師にお招きしました。非常に豪華メンバーがそろいました。
受講生も、全国から、またプロの方から大学生まで幅広く、アカデミーに来られました。森林文化アカデミーの学生も全国の強者に交じって講義を受けます。
■最初は石川先生の「バウビオロギーという考え方」と題して、バウビオロギーの幅広い考え方を講演いただきました。私が特に魅かれた内容だけ紹介します。
・「食」が第一の皮膚をつくり、「衣」が第二の皮膚、「住」が第三の皮膚、街並みが第四の皮膚として、考え方の中心には必ず人が存在し、それを取り巻く様々な要素を考えるのがバウビオロギーの基本である。
・性能は定量的評価が基本だが、数値では計測できなくても効果があるもの存在する。(現在の技術では測れないもの)
■土田さんには「日本における電磁波の現状と課題」について講演いただきました。
・木造建築が電磁波に関しては一番注意を要する。(鉄骨やRC造は、構造躯体がアースとして機能している)
・日本ではここ50年で10倍の電気使用量に増え、屋内配線も150mから1000mまで増えてきて、特に電磁波が厳しくなってきた。
・解決できる技術は出来上がっている(オールアース住宅)
・日本では、予防原則の考え方がまだ浸透しておらず、なかなか普及していかない
■講演の最後は畑中先生による「土建築の課題と展望」というテーマで話していただきました。
・世界人口の1/4は土建築に住んでいる。
・日干し煉瓦や団子積み、練土などさまざまな工法がある。
・テクスチャの美しさや自由な造形、火やシロアリに強い、CO2やエネルギーが少ない、参加型の工事が可能などの魅力がある。
3人の方の講演のあとは、私がコーディネーターとなり、「日本におけるバウビオロギーの展望」について、参加者も交えて議論しました。
会場からもいろいろ発言もでて盛り上がりました。
最後に私がまとめたのは、
バウビオロギーの考え方は、単なる合理主義ではなく、光を楽しんだり、会話を楽しんだりといった暮らしに重きを置いていて、昔の日本人はまさにそんな暮らしをしていた。これからは、日本の文化やドイツ発祥のバウビオロギー、新しく出てきた技術も取り入れつつ、日本独自の考え方を専門家だけでなく、みんなで作り上げていく必要があると・・・。
翌日は、エクスカーションとして、森林文化アカデミーの教育や実践例、伝建地区などを見ていただきました。
参加者の方々からまさに日本のバウビオロギーの神髄が見え隠れするというお褒めの言葉をいただきました。
以上、報告は、准教授 辻 充孝