ドイツBW州で学ぶ林業-4 獣害防護tubexで学ぶ
シカの食害ではドイツでも大きな問題
今回のHein教授とEndさんのコーディネートでロッテンブルク林業大学と共同開発している獣害防護チューブ、「tubex」の現場で協議。
代表のMarius Poppeさんから、現地での耐候試験の状況などをお聞きしました。
この現地は2000年の風倒木被害地での植栽(5ha)で、広葉樹50種に対し成分を変化させた10種類の獣害防護チューブ実証試験地を見聞。代表のPoppeさんはロッテンブルク大学卒業生で、皆伐地同じ条件である風倒木被害地でロッテンブルク大学と共同で、劣化現象の確認も含めて実施している。
劣化については崩壊度の予測グラフをつくり、36ヶ月(3年間)で総合評価する。
この試験地は5haに5000本(50種類の広葉樹)を植栽しており、毎年一回、紫外線劣化などを調査するため、一部を大学に持ち帰って分析している。 今回の試験地は設置後5年経過した試験地である。ちなみにカシワの仲間は食害にあいやすい。
支柱にはロビニア(ニセアカシア)を利用しているが、日本でも木製杭の強度試験も含めて実施すべき。
ポリプロピレンは炭素の集合体なので、分解されるとパラフィンと同じとイギリスの大学で報告されている。
①ポリプロピレン+顔料+耐紫外線安定剤+触媒(脱酸素)。製品のサンプルを採取して引き裂き強度を見れば、劣化度がわかる。
②ポリプロピレン+顔料のみ。耐紫外線安定剤が入っていないと破損しやすく、大きな裂片となって壊れる。
③ポリプロピレン+バイオポリマー(コーンスターチ)。これはバイオポリマーが酵素反応して表面に浮き出てきて、紫外線でポリプロピレンが、菌類やバクテリアでバイオポリマーが分解される。
④ポリプロピレン+耐紫外線安定剤+バイオポリマー(コーンスターチ)+顔料。これは5年で80%が残っている。
⑤ポリプロピレン+バイオポリマー(コーンスターチ)+顔料。④から耐紫外線安定剤を抜いたものであるため、破損が著しい。
⑥ポリプロピレン+耐紫外線安定剤。10年前から採用されているが、これは自然に分解しないため、撤去後に産業廃棄物となる。
⑦ポリプロピレン+バイオポリマー(コーンスターチ)+触媒(脱酸素)。簡単に分解される。
⑧ポリプロピレン+触媒(脱酸素)。早く分解される。
⑨ポリプロピレン+バイオポリマー(コーンスターチ)+顔料+触媒(脱酸素)。
⑩ポリプロピレン+耐紫外線安定剤+バイオポリマー(コーンスターチ)+触媒(脱酸素)。 tubex 12D 土壌還元型
最後に、最新の研究状況も説明してくれました。平成28年度は日本で、岐阜で、この試験も開始する予定です。
以上報告、JIRIこと川尻秀樹でした。