サマーセミナー2022報告⑤
サマーセミナーの活動報告も今回で最終回となります
【5日目】
サマーセミナー最終日は、ロッテンブルク林業大学校の演習林をフィールドに視察を行いました。
なんと今日はアカデミー卒業生の小原君が朝から合流して通訳を引き受けてくれました!おかげで今までの英語の聞き取りに比べて皆のメモが進むこと。笑
午前は植物学と造林学が専門のリューゲ先生からフィールドを案内してもらいました。相棒のジプシーも一緒です。33年前に保安林に設定されて以来伐採が行われなくなったフィールドを歩きながら解説してくれました。
「みんなはこの森を見て何か感じますか?」と投げかけながら場所の解説をしてくれました。過去に学生が研究で調べた情報と照らし合わせながら森を見てみると、様々な気づきがありました。ある特定の樹が無いこと・大風によって発生した倒木等、様々な要因で森林の下層植生が変化していることが分かりました。
お昼を挟んで午後はハイン先生からナラ(oak)の高付加価値材についての現地講義とフォレスターの役割について情報共有をしてもらいました。
現在、oakの造林に対する研究を進めているそうですが、ドイツに自生する樹種の中では粘土質の部分まで根を張れるというのがoakの特徴ということでした。それを確認するために検土杖を用いて地面を調べてみると
確かに一定の表土の下には厚い粘土の層がありました。
近自然的林業の考え方や、ハォプトベトレンガー(主要競争木)やディーネンデバームアーテン(奉仕してくれる樹)を見極めて、択伐していく方法も教えていただきました。単にこの土地にoakが適しているというだけでなく、IPCCでのRCPシナリオの最悪の事態を想定してその土地に適した樹種を選定していくという視点は、日本ではあまり現場で意識されることも少なく思うため、非常に刺激的でした。
サマーセミナーの最後のプログラムは
狩猟学が専門のバイムグラーベン先生による施設案内です
実習で捕獲した獣を解体・流通させるための処理施設、銃器を保管・管理している施設などを見させてもらい、日本と大きく異なる狩猟の形態や狩猟に関する資格について紹介していただきました。
日本では狩猟について専門的に学べる場は少ないため、物珍しいという事もありますが、森林官を育成するための学校で狩猟も学べるという事について大きな意味があると感じました。
始まるまでは不安だらけのサマーセミナーでしたが、いざスタートすると面白い事ばかりであっという間に時間が過ぎていきました。
今年は少人数での開催だったこともあり非常に多くの時間をフィールドで過ごすことが出来ました。
今回のサマーセミナーはロッテンブルク林業大学校のハイン教授・エント氏が中心になり、参加する学生にとって関心のあるテーマで組み立ててくれました。実施期間中もお忙しい中丁寧にアテンドしていただき本当にありがとうございました!
また、今回ドイツへのサマーセミナー参加には一部県からの補助もあり渡独することが出来ました。この場を借りて御礼申し上げます。
投稿:新津裕(YUTA)
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現地に行った様子を改めて報告する機会を企画中です☆
ブログでは報告しきれない細かな様子も「報告会」でお届けしますよ♪時期は11月頃を予定しています。詳細は後日お知らせします。