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2017年01月21日(土)

ひとさじの重み・・・木のスプーン

1月13日金曜日「木育指導者セミナー~木工をベースとしたフォローアップ研修~」

第3回目が行われました。

実際に5歳児がつくったスプーンを持参してもらいました。

 

この日は日本中が大寒波の到来に右往左往する大騒動の一日でした。太平洋側からお越しになった受講者は、美濃に近づくにつれ暗くなる空に不安を募らせ、日本海側からお越しになった受講者は、美濃に近づくにつれだんだんと明るくなる空に安心したそうです。とにかく寒い日の研修でした。

 

研修の最初は、前回のテーマに関する振り返りや各園での実践を交流しました。

忙しい毎日に追われ机の上がどうしても汚くて・・・という報告には、

どの方も「うんうん」とうなずいていらっしゃいました。

それでも、「職員の机の上をケアしよう!」と職員会で提案をされ、自分の机だけではなく

周りの関係も見るようになった。というお話には、

その実践がありがたく、自分も頑張らねば!と襟を正しました。

 

 

さて、今回のテーマは「木のスプーン」です。

 

 

先生がお持ちのスプーン。

形も大きさもいろいろです。

普段自分が使うスプーンも、その形状からスプーンと認識して当たり前に使っていますが、

改めてじっくり見ると、様々なデザインが施されていることに気づきます。

スプーンづくりで大切にしたいことは特に4つ。

 

1、思い(願い)を形にすること

誰のために、どんな願いを込め、どの材を使い、どこから調達し、どのように形作るか

そして、使い、直し、また使う・・・

このサイクルの根底に流れるのは、使い手を思い、木(樹)を思い、自然を思う心。

 

2、道具は身体の延長

スプーンは手の代わり。

手に持つ、食べ物をすくう、口に入れる。

この一連の動きがスムーズに流れなければならない。

持った時に安定すること。

食べたいものがしっかりすくえること。

口のサイズに合っていて、おいしく食べられる一口の分量の大きさ。

3、G

スプーンの匙面の形はいろいろある。楕円・卵型・逆卵型・なつめ型など。

気を付けなければならないのは、スプーンの重心がどこにあるかを意識すること。

重心を常に意識して作ること。

常にセンターを意識すること。

 

 

4、適材適所

スプーンを作るうえで適材となるのはどんな木か?

そして材のどの部分か?

木目はどうするか?

スプーンに適した材だからといってどこを使ってもいいわけではない。

 

この4点を学んだ上で、さっそくスプーンづくりに取り掛かりました。

 

形をつくるための道具は、ドレッサーと紙やすり。

園で用意ができ、もちろん園児も使える道具です。

 

黙々と削ります。

寒い日でしたが、腕を動かすだけでも体がポカポカしてきます。

 

ホオは比較的やわらかい材なので、気づくと思った以上に削れてしまいました。

センターを意識するとともに、材の性質にも意識を向けること。

意識とは「思い」。

「思い」とは「相手を大切にする心」。

 

 

スプーンという、特に子供たちにとっては身近な道具。

何気なく使っているスプーンの、このひとさじに乗った思いは「重い」。

そんなことを感じられた研修となりました。

クリエーター科1年 吉田理恵

 

次回は2月最終回です。

宿題となったスプーンのチェックと仕上げ。

レッジョ・エミリア・アプローチをヒントに始めた実験途中の

MOTTAINAI工房体験です。

体験が人の意識にどのように働きかけるか?

ヴィゴツキーのいう「発達の最近接領域」とは?

次の実践につながるセミナーにしたいと思います。

最後に参加者のアンケートから

『ケア』の大切さすばらしさを改めて感じました。様々なことを意識化することの重要さを感じました。

「思う」「つく る」「使う」ことのあたりまえを意識し継続し、またより良いあたりまえを作っていくことを次につなげていかなくては いけないと思いました。

研修主任:松井勅尚