『森林飽和』持続可能な社会と森林
『森林文化論』でお招きした東京大学名誉教授 太田猛彦先生、「森林飽和」の第六章を深く読み解く。
「持続可能な社会と森林」と題して、日本の植生の変遷、日本の森林の現状、日本の水環境の変化
そして山からの土砂流出量の減少、山地災害の変化など、さまざまな問題を振り返りました。
いつもは目の前の森林だけを考えてきた私たちですが、地球規模で考えると半径6450kmの地球で私たちが活動できる範囲は上空と海中を大目に見ても30km分のみ。
更に地球を形づくっているプレートについて見ると、海のプレートは玄武岩で厚み6km、陸のプレートは花崗岩で30km。
地球ができた46億年前の大気は二酸化炭素が大半で、その時の海水温度は300℃、しかも太陽は今より3割以上光量が少なかった。20数億年前光合成細菌(シアノバクテリア)の進化と増殖によって酸素が作り出された。
こうした劇的変化は、3回全球凍結したたびに発生した。花を咲かせる被子植物の発生もそう。オゾン層ができ、紫外線を遮断することで、海のなかの生物が陸上に上がるようになる。そして植物と動物の共進化によって、生物の多様性を獲得。
森林の公益的機能と多面的機能の違いって、分かりますか?
明治期の森林法は「林業」ではなく、森林に関する「国土保全の法律」。
1960年の「林業基本法」は林業中心、2001年の「森林・林業基本法」は森林全体を考える多面的機能が記されている。
最後に、「今後の国土管理・山村活用のあり方」の項目では、フォレスターの存在、フォレスターの重要性についてふれられました。
太田先生の講義は、森林を含めて幅広く環境を捉える意味で、大変有意義な講義であったのです。
以上報告、JIRIこと川尻秀樹でした。