『林業事例調査』 二日目は伊勢神宮宮域林です
「林業事例調査」の二日目は、伊勢神宮に赴き、参拝の後、宮域林を見学させていただきました。
一般の人の入山が制限されている宮域林ですが、特別な許可をいただき、神宮司庁営林部の方のご案内で、今回の見学が実現しました。また、このブログ記事および写真は神宮司庁広報室の許可を得て掲載しています。
まずは、神宮の参拝をいたしました。
五十鈴川です。この上流に宮域林があります。
神域の森の木(スギ・クスノキ・イチイガシなど)はとても大きく、その姿に感動しました。
様々な建物の建て替えや修繕の話を伺い、そこに使われる木材とそれを供給する森林との関係に思いを馳せながら、神域を歩きました。
参拝を終えた後、宮域林に向かいました。かつて、式年遷宮の際に使用される御用材は、この宮域林から供出されていました。しかし、宮域林の木材が枯渇してしまったため、木曽(長野県、岐阜県)の木材を使うようになったそうです。
大正12年に、再び宮域林から御用材を供給できるようにするための育成管理計画が策定され、それにそった施業がなされてきました。その目標が、「200年で、直径1mのヒノキを作る。その林は、針広混交林とする」というものだそうです。
1haあたり4,000本の苗木を植え、23、30、37、45、50~60年で間伐を行い、現在は平均256本/haになっているとのことです。
また、大径材をできるだけ早く育てるために、自ら試験を行っているということも伺いました。その大樹育成試験では、受光伐と普通間伐との成長量の比較および施肥との成長量比較を行っていました。受光伐を行ったヒノキは、普通間伐に比べ成長が速く、胸高直径が90年で、60センチ以上となっており、大きく目標を超えているという結果が得られていました。
案内をしてくださった山本さん曰く「この調子であれば、直径1mのヒノキを得るのに200年はかからないのではないか」というような、素晴らしい成長です。一方で、施肥の効果は少なく、差はあまりみられなかったようです。
このような手入れされた宮域林は、水源涵養、土砂流出防止等、神厳の確保、景観の確保、御用材の確保といった多機能を有していることを実感しました。
神宮司庁営林部の皆さま、どうもありがとうございました。
森林文化アカデミー クリエーター科1年 石垣・植松・清水・中田・若林