『かたちは意思!』つくる体験を通して考える「木工講座の基礎」2日目
2月6日からスタートした大口町立北保育園でのファーストスプーン作りの2回目が2月16日(金)に実施されました。この日、会場には講座開始30分以上前から受講者が集まり、削りかけのスプーンと切り出し小刀を持ち出し、もくもくと作業に取り組む姿が見受けられました。その間、「制作中のスプーンをこれからどのようにかたちづくっていけばいいのか」といったことをスタッフと相談する場面も見受けられました。
15時になり講座が始まりました。はじめに講師の吉田理恵さんより前回の復習、人の体と道具とものの関係についての講義、さらに「樹種や部位によって個性を持つ木の特性を生かす」という観点から、今回スプーン作りに使用しているホオノキについての説明がありました。
そして、そのあと2回目の作業で使用する道具であるヤスリ(ドレッサー)とサンドペーパーの機能と使い方などについて宮崎が説明しました。今回は完成したかたちを見つけるための作業となります。また、一回目とは違った道具を使っての作業となります。受講生の皆さんにとってはドレッサーは普段あまり使わない道具だろうと思います。木に当ててこするように押せば木が削れていく道具なのですが、複雑な局面を持ったスプーンの形をつくっていくにはいろいろな角度からいろいろな削り方を混ぜ合わせてかたちづくっていく必要があります。かなりやりにくさを感じながら作業をした人もいたと思います。しかし、受講生の皆さんが作業している姿を見ていると「私が考えるスプーンのかたちをつくりたい」という思いでドレッサーを動かしていたように感じられました。人が削るという行為によって木片がじょじょにスプーンのかたちに姿を変え始めるようすが手にとるように見えてくる作業となりました。
自分の形を意識し始めたとき、つくることと考えることとが重なり合っていきます。頭の中でことばだけを使って考えていたことが、身体と道具と木を使ってで考えはじめるのだと思います。そういった体験ができることがこの講座のよさなのだろうと思います。
最後の講評の中で松井先生はシュタイナーの「意思の力を育てる。意思とは自分らしく生きる力である」とのことばを引用して『かたちは意思』との話をされました。つくる人、一人ひとりが自分のかたちをつくっていくとき、そのかたち中には必ず作る人の意思が反映されます。つくる人が意志をもって作ったスプーンは、スプーン一般ではなく、その人の思いがかたちなったものと言えるでしょう。受講者の皆さんはいま、意志のかたちをつくっているだと思います。
次回は最終回です。一人ひとりのスプーンがどのようなかたちとなって仕上がるか楽しみです。
クリエーター科1年 宮崎 晋
実習「木工講座の基礎」2回目。間にホームワークが入り・・・忙しい保育士皆さんがどれだけ進めてくれるか?予想ができませんでしたが、開始30分前には、全員がそろい学生をつかまえ、すぐ取りかかる熱心さに脱帽でした。帰りの車中での振り返りでも、「どこまで手を加えて良いものか?」で議論が白熱!リアリティがあるからこその学びであること体感してくれたようです。
「木工講座の基礎」担当 松井勅尚