高性能林業機械を運転する資格を取得しよう4(立木伐倒編)
今日の天気は晴れです! 久しぶりの日が眩しく感じます。
先ず最初に演習林で実習に取り組む皆の無事故を願い、安全祈願を行いました。
杉本先生の指導で、お神酒、お塩、お米、スルメをお供えし、使用する鉈な鋸を並べ「山の神」にお参りしました。
なぜ、「女子だけが前に出るんですか?」という学生からの質問があったので、ここで「山の神」について紹介しておきます。
山の神
山を支配する神。全国にみられる民間信仰で、多くの土地では山の神は女神だという。しかし男神という所もあり、また夫婦(めおと)神としている例もある。山の神を女神としている地方では、この神は容貌(ようぼう)がよくないので嫉妬(しっと)深く、女人が山に入るのを好まないという。 (日本大百科全書:ニッポニカより)
林業は一人ではなく、数名が力を合わせ作業する場面が多いので周囲にも人がいます。そこに女性がいると気を取られしまい、手元が狂ったり、いいところを見せようとして無理な作業になったりすることが不安全につながり事故になることもあったのかもしれません。
それでは、実習に戻ります。先ずは本日のリスクアセスメントから始めます。
危険な状態を洗い出し、「発生頻度」と「重大性」から危険度レベルを評価します。
一定レベル以上の危険度であれば、低減対策を想定し再評価します。その結果、許容できれば作業を行います。
例えば、ある班の事例では、
危険な状態 練習中に炎天下で熱中症になる。
頻度と重大性 今日は暑いのでたまに起こる△、気付くとふらつくような状態になっている✕。レベル4で放置できない。
低減対策 時間を決めて日陰で休憩し水分補給をすれば、頻度は起こらない〇、重大性もない〇。レベル1で作業できる。
最初は、チェーンソーによる伐倒作業が確実にできるかチェック項目を決めチェックすることから始めます。グラップルの練習もするので、それぞれに分かれて練習します。
伐倒技術をチェックするのは杉本先生です。学生同士でペアチェックもします。主なチェックポイントは次のとおり。
- 受け口は正確に作成できているか。
- 追い口の高さと深さは正確に作成できているか。
- ツルは決められた幅を残しているか
- 伐倒方向は受け口から見て許容できる範囲に収まっているか
これらのチェックに合格した学生だけが演習林に上がり、立木を伐倒することが許されます。
ここからは、演習林の現場です。
50年から70年生の太いスギ、ヒノキがあります。
伐倒組は私が担当し、先ずは現場でリスクアセスメントを行います。
練習した成果を出そうと、学生も必死で取り組みます。できるだけ手出しをしないようにしますが、広場での伐倒とは雰囲気も違い、勝手が違うと上手くいかない学生もいます。
「水平切の切り過ぎ」や「ツルを切ってしまう」など大きなミスは、事故につながるので、手前で声をかけ指導しています。
今回は上手く伐倒することができました。
しかし、中には一抱えを超える太い木もあり、苦戦する場面もあり、著しい伐倒方向違いやツルの切り過ぎ等のイエローカードをもらうと、広場へ戻され再練習になっていまします。
思い通りに行かず落胆する学生もいますが、再挑戦の気持ちを忘れず、次回は上手く切ってみましょう!
林業専攻教員 池戸秀隆