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2019年07月30日(火)

第6回 岐阜県地域森林監理士養成研修を開催しました。

岐阜県地域森林監理士養成研修の第6回目となる低コストの講義が行われました。

1.更新に関する基礎知識

森林施業を進めるなかで重要となる森林の更新について、岐阜県立森林文化アカデミーの横井教授よりお話いただきました。天然林における撹乱にはどのような発生原因があり、その後の更新にどのような影響があるのか。一方、人工林である林業における撹乱と更新は、人為的であることから予想可能である。それは、地すべりや火災などの予測不可能なところに発生原因のある天然林の撹乱と対照的であるという話がありました。林業における撹乱が予測可能であることから、撹乱のあとの更新にも森林施業者は責任を持つべきであり、特に岐阜県地域森林監理士は、次の世代の森林はどのような森林がふさわしいのか。についてきちんと考える必要があるとのお話をしていただきました。

講座終わりには、重機で土壌を踏み固めしてしまうことについて、どれくらいの影響があるのか質問がありました。これについては、一度構造の崩れた土壌が回復することはかなり難しいので、重機が何度も走行する場合は、走行するところと走行せずに土壌を撹乱しないところのメリハリをつけるべきだというコメントがありました。

2.低コスト化に向けたヒノキコンテナ苗の育成技術

森林施業の低コスト化で欠かすことのできないコンテナ苗について、森林研究所の茂木主任専門研究員より解説をしていただきました。講義の中では、コンテナ苗の特徴を整理したうえで、同じコンテナ苗でもどのような規格のものをどのようなタイミングで植えると最もコストをかけず、かつしっかりと生育する苗となるかについて、最新の研究結果を基に解説をしていただきました。

研修生からは、効果的な植栽方法について質問がありました。基本的にはコンテナ苗も裸苗と同じ要領で考えると良い。つまり、植穴を掘ったらそこには腐食が入らないように注意する必要がある。と回答していただきました。

3.針葉樹人工林の針広混交林化・広葉樹林化

午前中にもご担当いただいた岐阜県立森林文化アカデミーの横井教授に再びご登壇いただき、広葉樹林化をテーマに話をしていただきました。広葉樹林化が漠然と語られ、広葉樹林化が目的になっているケースが散見されるが、広葉樹林化は、針葉樹に代わる木材生産を行うなど、新たな価値を広葉樹に見出した結果であるべきで、それ自体が目的ではない。といった広葉樹林化の意義について解説いただきました。そのうえで、広葉樹林化する技術をひとつひとつ解説いただき、ネット上で利用可能な広葉樹林化技術パッケージや目標林型の決定支援ツール等についてご紹介いただきました。

4.低コスト造林の推進

国有林分野を管轄する中部森林管理局の加藤監査官より低コスト造林の取組についてどのような取組を行っているかご紹介いただきました。

全国の森林管理局では、低コスト化及び省力化のために、植栽本数の見直しやコンテナ苗の活用などさまざま方策を講じており、その実施効果やさらなる課題をご紹介いただきました。

5.更新に関する質疑応答・情報交換

本日の研修を受けて、感じたことや浮き上がった課題について、グループごとに意見交換をしていただきました。

その後、グループごとに出た意見を研修生に発表してもらいました。そこでは、「コンテナ苗の植え付け時期について、研修の中では春が良いということだったが、夏期に植栽するなど別の時期に植え付けを行う可能性はあるか」、「里山林を針広混交林にする場合、基本的には天然更新が最適手法となるのか」といった意見が出ました。講師のお二人からは「コストパフォーマンスでいえば、活着も良く、成長もしやすい春が良い。ただ、温かい地域であれば夏期に植栽することも可能である。しかし、夏期の暑い時期に植栽をするとなると労力の面から現実的ではない。地域によっては、太陽の登る前の早朝に植栽を行っているところがある。」「必ずしも天然更新でなく、植栽による更新でも問題はないのではないか。重要なのは、その所有者がどのような山にしたいかである。それによって、植えるべき樹種が絞られる。その中からその地域の条件に適した樹種を選ぶと良いだろう。」といったコメントをいただきました。