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2020年01月05日(日)

百年公園木育WS③「石垣コースターづくり」

年を跨ぎましたが、現在 岐阜県博物館開催中の企画展に合わせて企画した「石垣コースターづくり」木育ワークショップについて報告します。

 

今回のアイテムはお城の石垣をモチーフにしたコースターです。
2019年11月23日から1月26日まで百年公園内にある岐阜県博物館にて「岐阜の城館探訪」という企画展が開催されています。岐阜県内のお城から発掘される出土品をヒントに、その地域の文化や歴史を紐解いていくという、かなりコアですが、とてもユニークな企画です。

今回その企画展になぞらえて「お城」をテーマにした木育ワークショップのアイテムを考えました。

木育ワークショップは、ただ、木でモノを作るだけの「木工体験」ではありません。木のものづくりを通して、参加者に何を伝えたいのかを決め、それに沿ったワークショップを企画する必要があります。今回は以下の2点を目的としてプログラムを企画しました。

1. 「お城」への関心を持ってもらい、岐阜県博物館へ足を向けてもらうこと。
2. 樹種ごとの違いを通して木と樹に興味を持ってもらうこと。

これらの目的を達成するため、ワークショップでは、このような取り組みを行いました。

こちらは、今回のアイテムのモチーフとなったお城の石垣について、説明をしている写真です。時代の変遷とともに変化してきた石垣の積み方を紙芝居形式で説明しながら、一般の人のお城への関心の向上に繋げようと試みました。実際にやってみると、石垣の積み方の違いについて参加者の多くが興味を示し、今回のコースターのモチーフとなっている積み方の写真が出た時、大きな反応が返ってきました。中には写真を撮る方もいらっしゃいました。「お城への関心を持ってもらう」という目的を果たすことができました。

続いて、今回のアイテムに使用した樹種について説明しました。今回はスギ、ヒノキ、ケヤキ、クリ、ホオノキの5つの樹種を使いました。実はこの5樹種のうち先の4樹種は実際にお城を建てる際に使われてきた木材です。そこに岐阜県で馴染みの深い木としてホオノキを加え、各樹種ごとの立ち木や葉っぱ、用材としての使われ方について紙芝居形式で説明しました。これまでに見たことのない木材の色や、木材ごとの重さの違いに参加者は強く関心を示している印象でした。

参加者の反応を見ていると、今回設定した二つの目的は、うまく達成できたように感じました。

スギとヒノキの葉っぱの違い

5樹種の木タイル

石垣の説明や樹種の説明を終え、いよいよ制作に入っていきます。今回のワークショップの工程は、5樹種の小さな木タイルを好きなように並べ接着し、全体をやすりがけした後、亜麻仁オイルで塗装という流れで行いました。

木タイルの大きさを2種類用意したことで、組み合わせの幅も広がり参加者は自分好みのコースターを作ることに熱中していました。参加者の中には、子供づれのご家族がいましたが、小さなタイルをひたすら接着し続ける作業にも、弱音を吐かず最後までやり遂げる姿も見られ、大人・子供問わず夢中になって取り組める企画になったのではないか、と感じました。

帰り間際に、参加してくれた男の子が、作ったコースターの写真を撮らせてくれました。最初は、予約者が2人しかおらず参加者の少ない中でのWSとなりそうでしたが、スタッフが当日5人ものお客さんを呼び込みしてくれたおかげで、なんと合計7名もの方に参加していただくことができました。年配のご夫婦、子供づれのご家族、お一人で来られた女性など様々な立場の方々がおられましたが、皆さんが、写真の男の子のように満足げな顔をして帰って行かれたのが非常に印象的でした。

今回、ワークショップを企画する中で、打ち合せから教材開発、講座企画、プレ実践、チラシ配布、実践を行ってきましたが、依頼者の要望をワークショップに還元する、講座スタッフと意識を共有するといったことの面白さと難しさを肌で感じました。ワークショップを作っていくとき、どのような段取りでどのような点に気をつけて行っていかなければいけないのか、ということを実際に体験として学ぶことは、とても良い経験になりました。

ご協力いただいた皆様、並びにワークショップ参加者の皆様、本当にありがとうございました。

企画担当:クリエーター科 木工専攻2年 久保 遼一

小学校でのプレ実践風景

この企画は県博の学芸員の方にも聞き取りをしたり、岐阜県内今須小学校と、そこでメイン講師をつとめた卒業生の吉田理恵さんのご協力のおかげで実現したプレ実践にて、根気のいる制作過程の確認ができました。

また、木タイルの加工には精度が必要であり、木工専攻として加工技術の上に成立したWSであります。事前広報は上手くいきませんでしたが、当日エンジニア科学生スタッフが呼び込みを頑張る姿に学生たちの成長を実感しました。

「木工講座の実践1」「木育総合演習」担当:松井勅尚