気密、防露を極める
専門技術者研修「パッシブデザイン設計法」の第三回を開催しました。全6回ですので、これでようやく折り返し地点です。
今回も、朝から夕方までひたすら勉強です。今回のテーマは「気密性能」と「防露性能」です。
気密と聞くと、息苦しい印象を受ける方もまだまだ見えますが、締めきって暮らせというのではなく、気持ちのいい時期はどんどん窓を開けてもらってかまいません。
つまり、気密性能の高い家は、住まい手が閉じたり開いたりできる自由度の高い家のことです。気密性能が悪いと隙間風が気になっても閉めることができない家です。
それ以外にも、気密高めることで、新鮮空気をきちんと導入したり、足元の寒さをなくしたりと、効果は抜群です。
今回は、今年度購入した気密測定機の実演も行いました。
まずは、前日に学生とセットです。アカデミーは大きい窓しかなくて設置がなかなか大変。
さて、学生と予備試験です。アカデミーの校舎の気密性能は・・・・・
相当隙間面積C値:8.4c㎡/㎡でした。(床面積1㎡あたり8.4c㎡の隙間があることを表しています)
一般的に、気密を意識していない住宅でも5c㎡/㎡ですので、悪いですね。(高気密住宅の場合は、1c㎡/㎡を切るのが普通です。)
木製建具の隙間や巾木、コンセントなどから気流が入ってきているのがわかります。
冬場には隙間風の寒さを実感しますので、この数値は感覚的にもあってますね。
さて、専門技術者研修の本番です。
昨日と同様にまずは、受講生の皆さんに性能予測をしてもらって、実測開始です。いろんな隙間から空気が入ってきているのが実感できます。
次に、空気の入ってきていた巾木やコンセント、建具等を順番にふさぎながらどの程度、性能が上がるか(隙間が減るか)検証していきます。隙間の開きやすい場所がわかると対策が考えられます。
何パターンかの測定結果です。
一番効果が大きかったのが、入り口の木製建具です。建具だけで、C値が2c㎡/㎡も減りました。実際の面積にして、96c㎡の隙間の削減です。建具廻りぐるっと約3mmの隙間が開いていた計算です。いかに納まりが大事か実感できます。
午後からは、防露の講義、演習です。
断熱や気密が高まると、冬でも暖かい室内が実現しやすくなります。そうなると、室内の湿気も増えて結露に関しては危険側になってしまいます。そのため、防露性能が必須になります。
結露と一口に言ってもいろんな種類があり、それぞれに対応しなければなりません。
よく見るのは、冬場の窓の結露ですが、これは高性能サッシに交換するだけで解決しますので簡単です。
厄介なのは、押し入れやタンスの後ろなどの見えにくいところで起こっている表面結露や、壁や屋根の内部で起こっている内部結露です。
この解決のためには、しっかり結露の原理を理解して対策出来る専門家に頼むしかありません。
今回のセミナーで受講生は防露対策を学べたと思いますし、宿題も出していますのでしっかり復習しますので、大丈夫でしょう。
この専門技術者研修も残すところ3回。まだまだ考えるべきポイントはたくさんあります。
准教授 辻 充孝