日常にこそ存在する美しさ・・・ケア
11月18日、「木育指導者セミナー~木工をベースとしたフォローアップ研修~」
第2回目が行われました。
市街地からお越しの参加者の方は、第1回目の夏の時とは違った景色の変わりように驚いていました。
山や自然が人知れずふっと様子を変えるとき、私たちの足を止めさせ四季の移ろいを感じさせてくれます。
さて、今回の研修テーマは「ケア」 。
まず初めに、前回の振り返りをしました。
「各園がどうして木育を取り入れたのか理由が知りたい。」という感想があり
そのことについて、それぞれの方からお話を聞きました。
「保育園の建て替えのタイミングがあり、町長が岐阜の木材(山)の現状を耳に入れ、園舎を木造にしようということになった。」
「研修の案内がたくさん送られてくるが、おもしろそう!と職員がみんな興味を持ったのが木育だった。園が町中で核家族やマンション住まいの家庭も多く、子どもたちに自然を感じてもらおうと園の特色に打ち出すことに決めた。」
思いや願いは、人、園によってさまざまでしたが、大きなきっかけや、大きな気づきが行動に繋がっていると感じました。
次に松井先生によるレッジョ・エミリア・アプローチ「ケア」についてのWSです。
松井先生が2年前の視察後、子どもたちと実践研究を重ねてきた成果の「研修化」の試みです。
「ケア」とは作る以前の大切な部分になります。
日本語で近い言葉を・・・と考えると「片づけ」が近いように思いますが
そうではない。と松井先生。
「空間は第3の教育者」というように、空間そのものが子どもや或いは大人にも何かを教えているとしたら、
整っていること=美しさではないだろうか・・・と感じました。
すべてを元に戻し、更地にする「片づけ」とは違う、そこにあるものを一手間かけ美しく整える・・・
それが「ケア」ではないかと考えます。
さぁ!実践です。今机の上にあるものを「ケア」しましょう。
実践その2。机の上にそれぞれ持ち物を3つだけ置き、それを「ケア」しましょう。
縦に置いてみたり、横にしてみたり・・・
とても素晴らしいと感じたのは、3つのもの以外を置いた台の上の様子です。
机の上をケアするというWSでしたが、スポットを浴びていないところにまで
意識が向けられていました。
「ケア」とは何も特別なことではなく、日常的に美しいこと・・・
それが大切だという意識が視覚化した瞬間でした。
隣の人との空間の関係性
次の作業への見通し
あえてシンメトリーにしない日本人に根付いた「粋」
そんなことに気付けたWSになりました。
その気づきを活かしていただくべく、翌日土曜日に行われる‘みの木育寺子屋’の会場設営をしていただきました。
実際に、ケアの概念を取り入れて会場設営してみます。
ゴミのあるところを掃き掃除したり
机や椅子を置く空間のバランスを考慮したり
小学生が参加することを考えて、危ないところはないかチェックしたり・・・
ケアの概念が反映された会場設営となりました。
その後、前回の要望である、箱椅子づくりでの課題「板が反る」ことについてフォローアップレクチャーを実施しました。3日間の箱椅子づくり研修だけではクリアできなかった課題です。
翌土曜日、お二人の参加者が実際の場を体験されました。
ケアの概念から設営という実践、そして実際の体験までを通してみることで
また一つ「木育」が深まったのではないでしょうか。
クリエーター科1年 吉田 理恵
次回は1月。
要望の多かったスプーンづくり。
スプーンらしきものはできても、
使えるモノ
使いたいモノ、使い続けたいモノ
のレベルにするにはどうしたら良いか?
適材適所は?
何を目的に作るのか?
スプーンづくり研修を受講した実践園の報告をもらいながらフォローアップします。
研修主任:松井勅尚