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2017年11月30日(木)

先輩から学ぶ、加子母の優良材生産

 『東濃桧』で有名な岐阜県中津川市加子母地区、本日は加子母の「優良材生産クラブ」の方々に山の現場から製材に至る一連の指導を受けました。

 事務局をされている安江正秀さんの司会のもと、森林文化アカデミーの卒業生で、速水林業さんなどで修業してきた安江政守さんの山で、東濃桧の育林についてお話をお聞きしました。実は正秀さんはアカデミーの前身である岐阜県林業短大、政守さんは森林文化アカデミーの卒業生で、現在加子母で林業生産活動をされています。

 今回の現場は政守さんのお父さんで、林業研究グループの会長さんも務めておられた安江銕臣さんが手塩にかけて育成されたヒノキ林で、樹高9mまで見事に枝打ちされています。この最上部、8~9m部位は政守さん自身が15年ほど前に枝打ちされたそうです。

 最初は政守さんが伐採の見本を見せてくださいました。

 

 政守さんは学生に「育林作業で大切なことは何か?」と問うと、様々な回答が出る中、政守さんは「自分は選木だと思う」と回答され、「なぜそれを育成するために残し、残した木のためにどれを伐採するのか?」を説明されて、伐採を終了しました。

 続いてエンジニア科の小野寺くんが伐採です。同級生に見られて緊張する中、掛かり木することなく、しっかり伐倒できました。

 

 熱心な学生は伐採して、断面調整で円盤を見て、過去の施業を振り返り、どの時点で成長が悪くなり、現在はどのような状況であるのかを把握していました。

 

 枝打ち後は丸太断面にしっかり見えています。加子母ではこうのように「枝打ち断面」を木口に出すことで、市場に原木を買いに来た人が、優良な枝打ちを施した丸太であることを納得して購入できるようにしています。

 

 次に別の現場に移動して、細い皮むき丸太を見せて頂きました。

 一般的に除伐や切り捨て間伐の対象となるような被圧木を樹皮が剥きやすい時期に伐採して、すぐに樹皮を剥いでおきます。

 これを作業道脇に集積し、ある程度まとまったら、牡蠣の養殖筏棚用に出荷する。これが結構いい金額になる。

 

 最後にお父さんの安江銕臣さんに連れられて山仕事をされた思い出の原点である林を前に、どのような気持ちで山づくり、林業をやっているのか?

 また農業と林業を兼業することの意味などについても学生たちにお話ししてくださいました。

 

 午後からは加子母の田口林産さんにお邪魔して製材について学びました。

 もちろん先ほど、安江さんの山で伐採したヒノキの1番玉、2番玉を持ち込み、それ以外にも田口林産さんで購入された枝打ち優良材も製材してもらいました。

 

 田口さんは事前に製材したヒノキ柱材で、枝打ちによる弊害を話してくださいました。

 無理な枝打ち(強度枝打ち)をした丸太を購入すると結構な確率で写真のようなピンホールの入ったものが出てくる。これは地上高2~3m付近に発生することが多いのだが、ハンノキキクイムシによるものだそうです。

 

 さて、製材の始まりです。伐採してきた原木に、先ほどのようなピンホールが出ないことを祈りつつ、田口さんの製材を見守ります。

 

 東濃桧製材二度挽きが基本です。田口林産さんでは大きめに製材して、それに割れ止めを塗布し、40℃で乾燥したものを再度製材して出荷する。

 今回、安江さんのお宅の1番玉にはピンホールは発生しませんでした。

 

 しかし田口さんが購入されていた枝打ち材には、ピンホールが発生してしまいました。これ一本の出荷価格が本来7000円ほどのものが、ピンホールが出ると1700円くらいになってしまい。大赤字!!

 それと天然木などはアテ材も多いため、天然木であれば良いというものでもない。

 

 さて、今回の加子母での実習、毎年開催してもらっていますが、優良材生産の現場でどのような問題があるのか? その一部ではありましたが、大変勉強になる一日を過ごしたのです。

 以上報告、JIRIこと川尻秀樹でした。