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2019年10月07日(月)

令和元年度第11回地域森林監理士養成研修を開催しました。

 今回は、9月13日に続いて野生動物管理の研修を行いました。

 

 最初に、岐阜県環境企画課生物多様性係 岡本卓也技術主査から、野生動物に関する関係法令について学びました。

 なかでも、鳥獣保護管理法(正式には「鳥獣の保護及び管理に関する制度)は野生動物の捕獲に関する最も重要な法律です。この法律のなかで狩猟制度についても定めています。しかし、猟銃を所持し、使用する場合は、所有については「銃刀法」、火薬については「火薬取締法」で定めているため、狩猟をする場合は、これらの法令に定められた内容を遵守する必要があります。

 野生の鳥獣は、許可を受けていない場合、例外の動物を除いて、捕獲をしてはいけないし、飼育をしてはいけないことになっています。

 「被害防止捕獲」は、慢性的かつ甚大な被害が起こっている場合にとられる方法です。この場合、狩猟を行う者は、免許の取得、狩猟登録をするなどの段階を踏んだ手続きが必要です。また、捕獲行為は、直接的にまたは間接的に人に危害が加える恐れがあるため、法令に基づいて適切に行うことが非常に重要であることを学びました。

 

 続いて、国立大学法人 岐阜大学応用生物科学部の池田敬特任助教よりニホンジカの生息数の調査方法と捕獲活動について学びました。

 生息数調査では、主に自動撮影カメラを使う方法を教えてもらいました。トラ等とちがい、ニホンジカは斑紋(模様)から個体を特定できないため、ドライブカウント法とREM法(Randam Encounter Model)で推定することが多いということです。

 航空赤外線調査をすれば、温度の高い動物を識別できますが、400~500万円/フライトのコストがかかるため、現実的には何度も何度も行うことはできない方法です。

 ニホンジカの移動は、市町村をまたいで移動したり、広範囲にわたるため、関係者で連携して対応することが必要になるとともに、捕獲をする場合は、その森林を持っている所有者の許可が必要となります。

 ニホンジカは昼行性とも夜行性ともいえませんが、特に日の出、日の入りの時間帯に最も活発に動く傾向があります。ニホンジカは、学習能力が非常に高く、狩猟の時期になると、禁猟区や狩猟者が少ない地域に移動してしまうという傾向があるそうです。狩猟時期は、狩猟が行われない夜に活発に動くようになるし、かなり距離があっても逃げていくようになるなど、人が行う捕獲活動に対応しながら生活方法を変えるという習性があります。

 このため、たくさんニホンジカがいる群れを撃つと、その群れが猟銃の危険性を察知してスマートディア(警戒心の高いシカ)になり、捕獲者を覚えるなど警戒心を強めてしまうため、5頭程度の群れを撃つことがポイントだそうです。

 

 本日の最後は、9月13日と19日の午前中の座学で野生動物を受けて、実際にニホンジカの捕獲を実践している岐阜森林管理署 松嶋 克彰 総括地域林政調整官から国有林野内で実践している獣害(ニホンジカ)対策について現場で学ぶことができました。

 現地研修では、七宗国有林にて、獣害防止のためのわなの実物を見せてもらい、設置のためのポイントなどについて岐阜森林管理署職員の方に実演してもらいました。皆伐現場を実験地として、くくりわなとカメラを仕掛けて監視をしている説明も受けました。

 皆伐後は草が生えるため、それを目当てにニホンジカが集まってくることになり、植栽すると必ず苗木が食べられてしまうので、基本的にはシカネットなどを設置することが必要です。この場合でも、捕獲対策を行い、生息数を減らすなどの努力が必要であることを学びました。

 捕獲は、「囲いわな」「くくりわな」で捕獲を行います。

 ニホンジカは群れで行動する習性があり、群れを捕獲する場合、囲いわなは有効な方法です。しかし、森林内では使えるとところが限られています。また、1頭だけ中に入った状態で扉を閉めてしまうと、ほかのニホンジカが警戒して入らなくなるなど、ニホンジカの学習との戦いになります。

 林業現場では、持ち運びが容易なことから、くくりわながよく使用されます。くくりわなでニホンジカやイノシシを捕獲した後の「とめざし」や錯誤捕獲により目的にしていない動物がわなにかかったとき、安全に作業を行う方法について教えていただきました。

 また、ニホンジカの学習能力を活かした植栽現場対策についても教えていただきました。

 わなは設置するだけでは捕れないので、動物との知恵比べになります。今回の研修生のなかから狩猟免許(銃・くくりわな など)を取得して獣害対策に取り組んでいこうという声も聞かれ、非常に頼もしく感じました。