世代をつなぐ山づくり。林業事例調査・第三弾~加子母編~
今まで3回にわたってお送りしてきた、「林業事例調査」も今回が前半戦の最終回になります。
最終回ということもあり(あまり関係ないけど…)、最近恋しくなってきた私のお国言葉(北海道弁)も少し織り交ぜながらお送りしますね。
では早速、加子母編スタートだべさ~!
「加子母」(かしも)は、旧加子母村が2005年に中津川市と合併し「中津川市加子母」となりました。岐阜の東端に位置し、第1弾のブログで報告した「東白川村」の東隣で同じく【東濃ひのき】の主産地でもあります。森林率はなんと97%です。
今回は、加子母森林組合長の内木さんに加子母の林業についてお話をお伺いしました。
用意していただいた資料を見ながら、内木さんの話を聴く学生たち。
加子母の林業の特徴は、表題のとおり「世代をつなぐ山づくり」をしていることです。
では、森林組合ではそのために具体的にどんな施業をしているんだべか?
組合では、森林の【複層林化】によって山主の持続的なモチベーション確保を目指しています。山ごとに四世代(100年生、70年生、40年生、10年生…)の様々な樹種が祖父から孫へと世代を越えてかかわれる森林づくりは、
「美林萬世之不滅」(びりんばんせい これを たやさず)
という理念に基づきます。
部屋にもその文字が飾られていました。
話は続き、【東濃ひのき】の話題になったときに実物をテーブルの上に置いてくださいました。
写真の左が天然林の90年生ヒノキ、右が人工林の80年生ヒノキです。
経の大きさは一目瞭然、天然林の方が小さく、年輪幅も細かい。人工林は初期成長が良いけど、天然林はそうでないことがわかるべさ。
【東濃ひのき】の命名当初(昭和30年頃)は、100年生前後の天然木が多数を占めていましたが現在は人工林が多くなってきているそうです。
お話を伺ったあとは、【複層林】の現場見学へ。
上木は90年生のヒノキ、下木は12年生のヒノキの複層林です。
施業現場の次は、ヒノキの“葉”の加工場へ。
加工場には、大きな蒸留装置がありました。
まず目に飛び込んできたのは、ヒノキの葉を蒸すための大きな釜。
奥の部屋には、水とオイルに分ける際に出たヒノキのガスを貯める装置。
このガスは、果物や野菜などの鮮度を保てる機能があり、ゼオライトと一緒に袋に詰めて製品にしているそうです。もちろん、水とオイルも製品にしています。
ヒノキオイルは香りの癒し効果だけでなく、山に潜む写真のような“ヒル”の退治にも使えます。
余談ですが私はヒルに何度も血を吸われており、今回も2箇所も吸われてしまいました。。なんか、いずいなぁと思ったら血を吸っているヒルがいたのです。でも、ヒノキオイルをかけてもらうと、ポロっと自然に取れました。まさに効果てきめん。
次は、組合の市場です。
ヒノキやサワラの丸太の中に、実は「木曽五木」の一つであるコウヤマキが紛れ込んでおります。
みなさん、どれだかわかりますか?
正解は、、、直径20cmの右下の丸太がコウヤマキでした!
よーく見ても私にはよくわかりませんでした。
最後には、組合員の独身寮も拝見しました。
新築の立派なお宅です。ここには、この春のエンジニア科卒業生が入居しています。
裏には川もあり、釣りも楽しめるそうですよ。なんとも羨ましい生活です。
加子母森林組合の訪問でとても印象的だったのは、「組合員さんを第一に」考えているということでした。世代をつなぐ複層林施業も、ヒノキの葉などの事業展開も、山主である組合員さんの山への愛を大切にしている証拠です。
末筆ながら、林業事例調査で協力してくださった現地の皆様、引率の先生方に感謝申し上げます。今回の実習で得た経験を、今後に活かせるよう努力したいと思います。
拙い文章ですが、ブログを読んでくださりありがとうございました。
それでは皆さん、したっけね~~!!(またね!)
報告:クリエーター科1年 松田麻子(ちゃこ、道産子)