ロッテンブルク大学サマースクール2017報告(その3)
9/22(6日目) シュバルツバルト地域での木材生産
ブラックフォレストとよばれる、ドイツの中でも比較的急傾斜な地域の木材生産の様子を見にいきました。
見に行った現場ではタワーヤーダ(ハーベスタ付)とスキッダーを使っていました。伐倒 一人、とんかけ一人、タワーヤーダ一人、スキッダー一人の計四人で仕事をしていました。この山は虫の被害がひどく、被害がこれ以上に大きくなる前に伐っている現場でした。そのため、七割は被害木でした。
はじめにとんかけの現場を見ました。この搬機は、木をある程度まで引き上げると自動で止まり、土場までいくそうです。土場から帰ってくるときも前回と同じ位置に自動で止まるので、操作時間が少なく効率が良かったです。また、荷をはずすときもオートチョークなので重機から降りることなくはずすことができます。
この現場では400mの線を張っていました。最高で600m張れるそうです。先柱は、木ではなくスイングヤーダのような機械だそうです。
次に土場を見ました。下の写真の数字は上の数字は長さで、下の数字は直径です。ただし、末口直径ではなく、元と末の間の真ん中の直径です。ドイツでも大径木だと、それを扱える製材所がなくて、安くなってしまうそうです。
このような急傾斜のところは他の平らなところと比べて生産性が低くなるので商売としてやっていけるのかと思ったけど、ここの場合は、虫食いからの予防としてのかりだしが目的なのでやらないといけないそうです。
9/23(7日目) レクリエーション施設
午前中はドイツ林業の歴史についての博物館に行きました。ドイツでも昔、川を使って運搬をしていたそうです。ただ川が広くて長いので、大きいものだと家や家畜を積んで下っていたそうです。
昔は、水車を使って製材をしていたことが分かりました。水車を回すとノコが動くのが再現してあり、とても分かりやすかったです。
午後からは、Baumwipfelpfadという林冠を歩けるところへ行きました。
林冠を巡る橋です。普段なら見ることのできない景色を安全に歩きながら見ることができました。
ただ橋があるだけでなく、ちょっとしたアトラクションがあり、また、2mも離れていないくらいの距離でリスを見ることができました。老若男女が楽しめる工夫が施されていました。
この橋を歩き終えると、らせん状の道のあるタワーがありました。森の中にあるので存在感がありました。
らせん状になっているので、上まで行くにはそこそこの距離を歩かないといけませんが、景色が良くて楽しく上がることがでまきした。木をさまざまな角度から見ることができました。中にすべり台があるので2€払えば帰りはすべり台で下ることができます。
このような施設はドイツ国内に4ヶ所ほどあり、それぞれ違う形のタワーがあるようです。このタワーがある街は元々温泉が有名でしたが、廃れてしまい新しい観光スポットとしてこういった施設を建設したそうです。建設費で400万€(約5億円)、維持費も相当かかると思いますが、4ヶ所もあるということはうまくやっていけているのだと思いました。
9/24(8日目) シュツットガルト市有林
シュツットガルト市有林は、100年前に狩猟用として利用され、今は、狩猟からサイクリング、ハイキングなどの用途に使われています。自然が保護されているので、大きなナラやブナがたくさんありました。これら大きな木は、すぐに見慣れてくるくらいたくさん生えていました。
また、写真のようなオブジェがあり、ここも歩いていて楽しかったです。このオブジェがあるエリアでも350€払えば狩猟可能で、穫った鹿はフォレスターが売ってくれます。
ずっと歩いていくと、上の写真のような広場がありました。この日は日曜日ではありましたが、特に何らかのイベントがあるわけではありません。それでも大勢の人々が来る様子を見て、ドイツ人は森林が好きなのだと実感しました。ドイツでは町にはゴミがたくさん落ちているのに、山には落ちていませんでした。こういったところからも森林環境教育ができていることがわかりました。
最後に、初めてドイツの森を訪れての感想です。
サマーセミナーに参加させていただき、全体を通してドイツ人は山が好きな人が多いから山が綺麗だということが印象に残りました。森林のレクリエーション施設はもちろん、ちょっとした山の小道にも犬の散歩をしにくる人が多く、これだけの人が出入りしているのにも関わらずゴミがほとんど落ちていませんでした。日本の山への意識改革もこのようにうまくいくといいなと思いました。
エンジニア科1年 日下部智一