マツノザイセンチュウを観察しました〜Cr1年「森林病虫害」
クリエーター科林業専攻では森林昆虫や樹木病害について学ぶ「森林病虫害」という授業があります。その授業の中で、今回マツノザイセンチュウの観察を行いました。
アカデミー構内、演習林にはアカマツがところどころに生えていますが、周辺の山と同様、松枯れ(マツ材線虫病)によって、枯れていく個体が出て来ます。今回はマツノザイセンチュウの生態などについて学んだ上で、実際に枯れた松から線虫を検出し、観察しました。
サンプルは構内で今年枯れたアカマツ3個体と、生きているが一部の枝が枯れている枝枯れ個体から採取しました。それぞれの個体から枝(枯死木1個体からは採取できず。枝枯れ個体は枯れた枝を採取)と、ドリルを用いて幹から材を採取しました。採取したサンプルはそれぞれ細かく切り分けて、目の粗い紙に包みベールマン漏斗(線虫を分離する装置)にかけました。線虫がいれば、紙の目を通って、漏斗の下に落ちる仕組みです。
翌日、漏斗の下に溜まった部分を線虫観察用の皿にとり、顕微鏡で観察します。
さて線虫は出てくるでしょうか?
最初は繊維などのゴミと間違いやすいですが、慣れてくるとわかるようになります。結果として、枯死したうちの2個体からは枝からも幹からも線虫を検出することができました。枯死木の1個体は枝の採取ができず、幹から材をとって来たのですが、こちらは検出されませんでした。
また枝枯れ木に関しては、枯れた枝、幹のいずれからも線虫は検出できませんでした。幹にいないのは想像に難くありませんが、枝部分はカミキリの囓った後もあったため、線虫がいるのではないかと思っていましたが、予想が外れました。
線虫以外にも地上最強の生き物と言われるクマムシや、ヒルのような動きをするワムシなども観察でき、普段見ることのできない生き物に出会えて皆楽しめたようです。特にクマムシは可愛いとの声多数でした。
実体顕微鏡では線虫の細かい形態まで見ることができないため、歯科医師用の細い針で線虫を引っ掛けて釣り上げ、プレパラートに移して、より拡大率の高い光学顕微鏡で観察しました。
写真は少しぼやけていますが、マツノザイセンチュウの体の中まではっきりと観察することができました。
松枯れは目にすることも多く、話ではなんとなく知っている方も多いと思いますが、実際に自分たちでサンプルを採取し、観察することで、松枯れなどの樹木病害に関する理解が深まったようでした。(准教授 津田格)