シカの解体!!
※記事の下の方に解体中の写真あり。閲覧注意!!
狩猟関連の授業が拡充されることに伴い、昨年度の自力建設は獣肉解体施設をテーマにし、今年春に「里山獣肉学舎」として竣工しました。
その後、内部の整備を進めていつでも解体できる受け入れ態勢が整っていました。
そしてついに、解体施設を使う時がやってきました。
先日、実習で郡上市大和町で仕掛けていた罠に、鹿がつかまり、昨夜のうちに内臓を除去し、血抜きを行った状態でアカデミーに搬入されました。20kgの小さめの雌鹿です。
さっそく、林業の学生と伊佐治先生が解体に取りかかりました。学習効果も考えてオープンな実習施設。他専攻の学生も見学にやってきました。
自力建設の際にかなり考えて製作した移動式の作業架台に吊るし、刃を入れていきます。伊佐治先生はさすがに慣れた手つきで、テキパキと進めていきます。
皮を剥いでいくときは、時々ナイフを使いながら、ズルッと手で引張り処理します。イノシシだと、油も貴重な食料になるので、もっと慎重に進めないといけないようです。
学生も真剣な表情で、それぞれの部位の状況を確認しながら丁寧に作業しています。
ここで、建築学生も参加です。自分たちで建設した施設や什器の使い勝手がどうなモノか。この体験は非常に貴重なものです。
いよいよ皮はぎの最終段階。頭を落として完了です。ここまでくると、周りで見ている学生も「肉だ!」という感想。認識が生き物から食料に変化しました。
あとは細かく膜や毛を処理していきます。
はがした皮や足を興味津々で見ている学生に、環境教育専攻の新津先生がさらに解説。
シカの口を開け、歯の並びをみながら「鹿は上あごの前歯がなく、歯板だけでしょ。草を引きちぎるようにかみ切るため。奥歯はするつぶすようになっているのがわかる?」と、講義が始まっています。
また、この頭蓋骨は、松井先生のデッサンのモチーフになる予定。肉だけでなく、皮や骨まで余すところなく活用します。
国内に、獣肉解体場を持っている学校は、アカデミーだけ?ではないでしょうか。
実は教育連携を結んでいるドイツ ロッテンブルク大で解体施設を持ち実習を行っていて、衝撃を受けたことがこの施設建設のきっかけ。林業を広い視点で見るために必要な教育環境です。
森林は造林だけでなく、自然保護、狩猟、森林環境教育といろいろな活用ができます。その中の狩猟で得た資源を有効に活用することを、自分たちの近い環境で、体験できるのは非常に贅沢です。
准教授 辻充孝