「山村資源利用演習」エンジニア科林産コース2年
山間集落の生業とバイオマス資源利用の結びつきを学ぶ
エンジニア科2年林産コースの「山村資源利用演習」では、森林の多面的機能や山村社会の現状を学びます。毎回の授業は教室を飛び出して、フィールド実習型を中心に進めます。
2016年度の第1回は、6月3日~4日の日程で学生6名とともに揖斐川町春日地区・坂内地区を訪ねました。今回は春日地区の六合集落にある「ヤマ茶(在来種の茶)」に入れる茅刈りと、畑への敷き込み作業をお手伝いしました。現地の講師は、アカデミー卒業生で春日出身の森善照さん。お茶農家さんと協力して、無農薬栽培と伝統的な「茅場農法」の復活を目指しています。
最初の実習は、ヤマ茶畑の草引きとイモの蔓取りでした。いきなり地味な作業ですが、この準備をしておかないと、茅を入れても雑草を育てることになってしまいます。皆もくもくと作業…。
昼休みは、最近「天空の茶園のビュースポット」として大人気の遊歩道へ上がってお弁当。この道はアカデミーの廣田先生が調査提案して、自治会の皆さんがボランティアで整備したんですって。すごい!
午後はいよいよ茅刈り作業。遊歩道のさらに上にある茅場で、森さんの草刈り機をお手伝いしながら、刈った茅をその場で束ねていきます。これが意外にむずかしい。でもエンジニア科の学生はさすが若いし現場に強い。作業のコツを飲み込んで(途中休憩を挟みながら)3時間余り炎天下の作業をこなしました。
1日目の実習が終了して宿へ向かう途中で、久瀬温泉「白龍の湯」に立ち寄って元気を回復!さらに山中を走って「諸家の里」に着きました。ここは16戸36人が住む揖斐川町でも最奥地にある集落。旧坂内村長の田中正敏さんを中心にミニ工芸村を展開しています。
本物の茅葺き民家を保存した「竹姿庵」という合宿所に入って、皆で珍しげに建物点検をした後は、自炊の夕食。この夜はカレーライスと鶏チャンの献立でした。夜には、元森林組合長でもある田中さんから、戦前~戦後の諸家集落の生業と森林の関わりについてお話をお聞きしました。学生6人とも真剣そのもの(眠る奴ゼロ)でした。
気持ちのよい朝の諸家集落を散策した後は、再び春日地区に集合。この日は大垣市のIAMAS(情報科学芸術大学院大学)の学生・先生と合同で実習しました。前日に刈ったカヤとササ(青草)を皆で畑に敷き込みました。20人近い人数だったのでアッという間に終了。でもこの作業を一家で(方言では“ヤウチで”と言います)毎年続けていくのは大変なことだと想います。
実習の最後は、茶の木を整える整枝作業を体験。2種類の機械を使って、側面をまっすぐ刈り揃え、上面はカーブを付けていきます。こうすると茶の木の風通りが良くなり、日光の当たる面積も増えて、お茶の味が良くなるのだとか。昔の人の細やかな知恵に感心します。
締めくくりに、森林文化アカデミーとIAMASの学生交流会を行いました。IAMASの学生さんは大学院1年生で情報技術、デザイン、アートなどを専攻していて、エンジニア科の学生たちと話が噛み合うのかな?と思っていましたが、さすが2年生~自分の進路や業界が抱える課題などについてしっかりスピーチして、それが情報デザイン系を学ぶ年上の大学院たちを刺激したようでした。いつかまた仕事で出会えたらいいですね^ ^。
濃密な2日間の体験を終え、心地よい疲れとともに美濃市の学校へ帰りました。次回は7月です。
担当: 嵯峨(揖斐川町駐在)