木のおべんとう箱展 2023 製作レポート②
2023年10月27日(金) 28日 (土) 29日 (日)の3日間、美濃市うだつの上がる町並みで開催されるミノマチヤマーケットと同時開催で「木のおべんとう箱展」と題して、木工専攻の学生7人が製作した弁当箱の展示・販売を致します。
7人の学生が製作したお弁当箱はどんな想いで作られたんでしょうか、それぞれにレポートしてもらいました。
「もくもく弁当箱」~製作秘話~
木でできたものを手に取り、この木がなんて名前で、どこから来たもので、どういう特徴があるのだろう…と考えたことはあるでしょうか。
私もアカデミー入学以前は木に対して特別関心を持っていたわけではなかったので、そのようなことはあまり考えたことはありませんでした。
綺麗な模様だなあ。器などを買う時もそれくらいの気持ちだったと思います。
アカデミーでは木材だけでなく、森や樹木についても勉強していくので、いろいろな視点での学びがあります。木々一つひとつを見ても葉っぱの形や肌触り、木材の色や匂いと色々あって本当に楽しいものです。
私の弁当箱は多様性をキーワードにして、このような魅力をたくさんの人に伝えたいという気持ちからこのお弁当箱の製作は始まりました。ちなみに作品名の“もくもく弁当箱”は”木々”から来ています。
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多様性という言葉をコンセプトにしたので色々な樹種の木を使いたいと考え、今回は寄木のお弁当箱を作ることに決めました。今回使った樹種は、本体の部分にクリ、蓋にサクラ・トチ・ホオノキです。みなさんもかなり馴染みのある木々だと思います。
寄木という技法をお弁当箱に使う上で一つ課題がありました。それは湿気による木材の収縮と接着面の剥離です。箱根寄木細工など古来から作られている作り方は、寄木をした板を鉋で削り、1枚のシートにしたものを箱に貼り付けているのであまり影響を受けません。
今回、私は無垢で製作したかったので、木と木が接する面同士の隙間をなくすことで湿気による影響を軽減するということを目指す必要がありました。
正確な加工をするために“治具(じぐ)”と呼ばれる道具を作り、狙った曲線通りに加工していきます。治具の精度が低いとどうやっても加工はうまくいかないので、試作品を作りながら接着面がピッタリ合うように調整していきました。
加工が終わった部材を合わせて仕上がりの確認をします。綺麗にできていたので、一安心でしたが工程全体で見ればまだまだ序盤です。
本体の製作過程です。材料にできた小さな傷や毛羽立ちを取っています。本体1つに対して5つの部材が必要になるので、10個作れば本体だけで50個の部材が必要になります。
今まで同じものをたくさん作るという経験がなかったので、時間も気にしつつミスや見落としが無いよう慎重に作業していきました。
完成品です。
蓋の曲線は山並みをモチーフにしていて、サクラ・トチ・ホオノキの組み合わせは3パターン作りました。樹種による色の違いはもちろんですが、材によっても表情が変わっています。
また、サクラやホオノキは使うごとに色味が増していくので、お気に入りのお弁当箱を見つけて、自分だけのものに育てていただけると嬉しいです。
ミノマチヤマーケットで皆様のお目にかかるのを楽しみにしています!
岐阜県立森林文化アカデミー 木工専攻2年 迫間 涼雅
おべんとう箱の製作過程などInstagramでも発信しています。
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