【韓国視察(8)】 韓国視察報告会の開催
木造建築の新しいかたち(その211)木質構造に関する住育の取り組み
韓国視察レポート第8弾。この一連の韓国視察について、その報告会を開催しました。
私は「岐阜県産材輸出推進協議会との連携 ~日韓建築実務者への技術支援~」と題して、(1)韓国の現状、(2)韓国の木構造の設計・施工者向け 木造軸組構法:設計と施工の手引き、(3)安全性と耐震設計書(5階以下の建築物など)、(4)韓国技術者研修、の4つの項目で報告しました。
「(1)韓国の現状」:韓国の森林の状況、木材供給量、建築物着工状況、韓国での地震の状況などについてお話ししました。
「(2)韓国の木構造の設計・施工者向け 木造軸組構法:設計と施工の手引き」:日本木材輸出振興協会さんが事務局となって開催された委員会に、小原も委員として参画させていただいて、令和3年に韓国の実務者向けに木造軸組構法のマニュアルを作成しました。そのマニュアルの内容の一部(小原執筆分)を御紹介しました。
「(3)安全性と耐震設計書(5階以下の建築物など)」:2017年12月以降確認申請時に必要になった書類「安全性と耐震設計書(5階以下の建築物など)」について韓国の実務者が簡便にエクセルを用いて作成できるように作成しました。その概要を説明しました。
「(4)韓国技術者研修」:上記のマニュアルやツールなどの研修の他、これまでに行ってきた韓国向けの技術者研修についてお話ししました。
視察に同行した学生の坂井梨奈さんは「韓屋(ハノク)」について報告しました。韓屋の特徴や歴史的区分、現代韓屋についてなど報告しました。
韓国視察から帰国してから報告をまとめる期間が実質10日間弱(土日やお盆休みなどを除く。)程の中で、話しつくせなかった部分もありました。しかし、報告会に御参加いただいた方々には韓国の状況について少しでも御理解していただけたのではないかと思います。
アカデミーの学生の皆さん、教務課さん、森林技術開発・支援センターさん、そして、岐阜県 林政部 林政課さん および 県産材流通課さんからもこの報告会に御参加いただきました。ありがとうございました。
日韓建築実務者への技術支援はまだまだ不足している部分もありますので、コツコツと進めていきたいと思います。
末筆ながら、木材輸出・地域材利用関連をテーマとした専門技術者研修「これからの木造建築構造を考える」(第1回)を、令和5年9月9日(土)9:30~16:30 森林文化アカデミー内にて開催いたします。
木材輸出取組を先進的に行っている園田真吾氏を講師にお招きし、『韓国における木材輸出取組と木造住宅の設計・施工の問題点』と題してご講演いただきます。
園田氏は、令和4年に日本産木材製品輸出拡大シンポジウム(岐阜)にて「海外への国産材製品の輸出取組」を、令和3年に日本木材輸出振興協会主催の米韓向け日本木材製品輸出促進セミナーにて「韓国における木造住宅の設計及び施工の問題点」をご講演されるなど、木材輸出関して先進的な御活躍をされています。
木材輸出の取り組みおよび海外(特に韓国)での木造住宅の設計や施工の問題点について、話題提供をしていただき、ディスカッションを行います。これからの木造建築構造のあり方について、地域材利用および木材輸出の観点から考える研修です。
御都合よろしければ、是非ご参加ください。
教授 小原 勝彦