林業事例調査2023(5)鈴鹿木材株式会社さま視察(2023/7/25PM)
林業事例調査3日目の午後は、三重県で木材市場を立ち上げられた鈴鹿木材株式会社さんを訪問しました。木材市場は生産者から集荷した原木を選別・保管して原木市を開催し、そこで製材所や木工所に競りや入札等によって販売して生産者に売上金を支払うという役割を担っています。その中でも鈴鹿木材さんは独自の流通システムを構築されており、生産者、製材業者からの信頼が厚いという情報を得て、今回お話を伺いに訪問させていただきました。
鈴鹿木材さんは三重県以外にも静岡、九州に自社の土場を所有しており、全国各地から多種多様な原木(ヒノキ、スギ、アカマツ、ケヤキ、モミ等)を仕入れています。また、国内だけでなく、中国や台湾、韓国などに向けても輸出を行ったり、製材品の販売もしています。
鈴鹿木材さんの特徴は、なんといっても「山土場からの直送」と「定価販売」。
通常は木材市場所有の土場に原木を集めてから、出荷しますが、鈴鹿木材さんは産地最寄りの山土場から直送することで、輸送費等のコストを削減し、納期も短縮しています。
その場合は、生産者に対して直送のコーディネートをしています。また、鈴鹿木材さんは、定価での売買を行うことによって木材価格の変動に左右されない流通体制を整えています。定価での取引は生産量や製材所にとっても安心ですよね。
見学の後半は、土場にて原木市に出される前の原木を見させていただきました。立派な原木ばかりで、素人目からしたら材の良し悪しが、正直分かりませんでしたが、原木の「色味、節、通直」等の特徴から判断して、プロの目利きにより1本1本選別され、良材が買い手に目立つような配置をする工夫をされているそうです。また、樹皮が残っているかどうかも重要で、樹皮が剥けた原木は太陽光により乾燥割れが生じてしまうため、価値が下がるとのことでした。
今回、お話を伺う中で印象的だったのが、案内をしていただいた営業課長の稲垣さんが「枝から根っこまでの販売ルートを用意している。」と話されていた事です。例えば、樹皮は牛の寝床に、根っこは堆肥に活用できるそうです。木材を余すことなく使うことは、山側への利益還元に繋がります。そのような販売ルートの豊富さが、全国から鈴鹿さんに原木が集まる理由なのかもしれませんね。
私自身、林業を志す上で、原木の目利き(どういう材が求められているのか)をより勉強する必要があると感じました。そのためにも、今度は原木市にも参加してみたいと思います。
最後になりましたが、お忙しい中見学を受け入れてくださった鈴鹿木材様、ご案内していただいた稲垣様にお礼を申し上げます。ありがとうございました。(林業専攻1年 佐藤雄一 )