授業:はじめての「測量」を体験しました
クリエータ科林業専攻1年生による「測量技術」の授業が終了しました。
将来の職業として、「森林業」を志す者にとって「測量」の知識・技術は欠かせません。
けれど、作業はとても地味。その作業を実施する意味をイメージしていないと、この時期(実習日は雨の翌日の35度超‼)の測量は苦行⁈です(笑)
そこで、導入では測量の起源を学び、ナイル川氾濫後の畑を「村人みんなで仲良く割り振る」ために生まれた技術が「測量」だと学びました。
その「測量」を支える幾何学や天文学も一緒に発達してきた歴史も印象的でしたね。
そして、日本における「測量」に目を移せば、伊能忠敬さん率いる伊能隊が完成させた大日本沿海輿地全図。当時も今も世界のだれもがど肝を抜かれた成果品だったことは言うまでもありませんが、50代で「測量」を学び実践し始める前、名主として引き継いだ村の地図を見て、地域の村人のために利根川の堤防嵩上げ工事を提案し、「当時の村人を笑顔にした」それこそが、「測量」の成果だと学びました。
さて、実習では「測量」の歴史をたどるかのように、ポケットコンパス、三脚、間縄などで測量開始!!
この道具の数々、精度の違いはあれど、仕組みとしては、江戸時代のそれと大差ありません。これらの道具を駆使して(出来るように)、実習開始です。
次第に慣れ、ポールマン、コンパスマン、野帳マンを繰り返していく学生
今回測量した林分は約1ha。途中からは、道具をデジタルコンパスに持ち替えて実施しました。一気に、使用機器が進化しました。持ち物も減り、少し身軽になって、いざ出陣です。
デジタルコンパスになって一番の変化は、ナタを使う機会が劇的に減ること。ポールマンも縄やメジャーを通すために目標に向かって直線的にトラバースする必要がなくなります。(ハチ刺されリスクも大幅減💦)
測量後は、情報処理室に入り、製図。
製図作業は、まず手書きでやりました。方眼用紙と分度器と三角スケールに定規、また超アナログな道具に逆戻り。起点をどこに決めるのか、縮尺はなんぼにするのか?
みんな、頭を抱えながら、製図、閉合比の算出、誤差の修正に挑みました。授業時間内で描き切れなかった閉合図は宿題⁉です
その後、エクセルに入力してみると、ものの5分で「ハイっ終了!!」
閉合誤差の修正も、あんなに頑張ったのに、エクセルだとほんの一瞬!!
意地悪ではないのですよ。誤差の修正を手書きでやるのは…私たち教員も学生時代に体験し、誤差の修正の意味を納得できたが故の、経験のおすそ分け。なのです。(まぁ、苦しんでいる様子 楽しませてもらいましたが、、、)
ですが、最後はやはりデジタルの世界に!!
測量野帳は、shpファイルに早変わりして、GISに取り込むと、あっという間に演習林のあるべき位置に張り付きました。まるで魔法!!
さて、今回受講した「測量」、測量技術の発達により数年後にはガラッと変わった実習内容になっているかもしれません。ですが、その成果品で表現される「今」から何を読み取り、何を生み出すのか?技術者として、問われる大事なことは、きっと変わりません。歴史によって証明済みです。
今回、測量した演習林の未開発区域「未来の森づくり」。皆さんは、いかに「今」を把握し、どんな未来を語り始めるのか。楽しみでなりません。
報告:林業専攻 塩田(しお)