林業・木工機械展 LIGNA(木造建築ドイツ研修記5)
ドイツ北部のハノーファーで行われた林業・木工機械展LIGNA2023を視察してきました。
ハノーファーは人口53万人の都市で、北緯52度に位置して樺太と同じ緯度です。
市内にはドイツの伝統的な木組みが見られる建物や荘厳な市庁舎など建築としても見応たえがありました。
ちなみに市庁舎は中央の丸屋根部分に登ることが可能で、珍しい傾斜エレベーターがあります。
そのハノーファーで2年に一度行われている林業・木工機械展がLIGNAです。
展示会の場所は郊外にある世界最大級のコンベンションセンターMessegelände Hannover(ハノーファー国際見本市会場)で、中央駅から電車で20分程のところです。
数多くの世界的見本市が行われているところであり、駅直結でアクセスは便利です。
今回はこの展示会場の半分近くを使用して行われていました。
7つの分野に分けられて、それぞれのエリアでの展示でした。7つの分野は以下の通りです。
①【Tools and Machinery for Custom and Mass Production】、②【Wood Based Panel Production】、③【Machinery for Forestry, Roundwood and Sawntimber Production】、④【Surface Technology】、⑤【Sawmill Technology】、⑥【Energy from Wood】、⑦【Machine Components and Automation Technology】。
分野①では大量生産の為のフローリングや家具の木材加工、表面・内部検査、プレカット、搬送機械など様々な展示されており、一番の大面積を占めていました。
分野②ではパーティクルボードやMDF、OSB等の木材ベースのパネル生産や断熱材などの最新技術が展示されていました。分野③は主に屋外展示で、林業、製材の大型機械の展示実演が行われていました。
分野④では表面技術の展示としてデジタル印刷やプレス、研磨などの機械展示がありました。
分野⑤では製材所の技術展示があり、快適そうな椅子に座りながらスーツを着てのデモンストレーションなどを行っていました。
分野⑥はバイオマス発電のボイラーなど木材のエネルギー利用の展示が、分野⑦では木材加工の自動化技術としてCNCマシンや小型トリマーなどが展示されていました。
メーカーの展示以外にもロッテンブルグ林業大学など木材を扱っている教育機関の展示ブースもありました。
以上、木材に関わる伐採から最終製品まで実に様々な機械や技術展示がありました。
プレカット機械や簡易製材機など日本に入ってきている機械もありますが、規模的に日本では用途に困るような機械もありました。
日本で使えないにしても今後の発展のために技術として知っていることは重要なことであり、非常に勉強となる視察となりました。
また、林業や木工、木造建築などに関わる教育機関が展示をして積極的に発信していることも印象に残りました。
日本でも木工機械展などがあるので森林文化アカデミーとして参加しても良いのではないかと思いました。
木造建築専攻 杉山達彦