大垣公園プレーパークに積み木を作りました!
木工専攻の学生がデザイン、製作した積み木を大垣公園のプレーパークに納品しました!
岐阜県大垣市にある大垣公園では2011年ごろから遊具の貸し出しや、あそびの場を見守る『大垣公園プレーパーク』を運営しています。積み木の納品に行ったこの日も春の陽気の中、公園は子どもから大人まで、多くの利用者でにぎわっていました。
今回ご紹介するプロジェクトは、大垣市が行ったクラウドファンディングを財源に、市民の憩いの場となっている大垣公園で遊ぶ子ども達のために積み木を作ろうというものでした。今回、ご縁があってプレーパークを運営する特定NPO法人「緑の風」の浅野純一さんからの依頼を受けて、学生達の積み木作りがスタートしました。
プロジェクトがスタートしたのは1月ごろ。今回、積み木作りに手を挙げた2人の学生、寺島基さんと山本真弓さんと一緒に、大垣公園を訪問して積み木作りのヒアリングを行いました。そこで、積み木が使われる場所を見せてもらい、屋外で使用することや、ブロック的な遊びが可能で大きな作品が作れるような積み木をデザインして欲しいという要望を聞きとりました。
積み上げるだけでなく、ブロックのような組立て要素のある積み木・・。この要望をどのようなアイデアで実現するか?ここからは学生がイメージスケッチを描き、良さそうなアイデアをモックアップ(実寸模型)を作ってみながら検討を進めます。積み木は大きな作品が作れて、赤ちゃんでも「誤飲が無い」サイズを考えながら検討していきました。こうしてできたのが丸棒でジョイントする積み木と、木工用語で「平枘(ひらほぞ)」と呼ばれる接合を使い、凸凹を落とし込んだ2つの積み木です。
積み木のデザインが決まったところで、材料の買い出しに向かいました。屋外で多数の人が使う積み木には強度も求められるため、堅い広葉樹から材を選ぶことにしました。材に選んだのはミズナラ、ヤマザクラ、イタヤカエデそしてクリです。ミズナラはドングリのなる木、他の3樹種も街の人たちにも立ち木がイメージがしやすい特徴的な木です。せっかく無垢材を使った積み木で遊ぶのだから、山の木とイメージが結びつく材料だと良いのではという考えで選びました。ちなみに今回使った材料は、すべて岐阜県産の木です。
若干、話はズレますが、今回、材料屋さんに行ったところ、いずれの樹種も、とても良い材料を選んで買えました。実はこれはとても運が良いことなんです。スギやヒノキと異なり、広葉樹は計画的に育樹・伐採されるような仕組みは無く、欲しい板のある無しはタイミングと運に多分に左右されます。もし、このとき自前に使える予算があったなら、もう倍くらい材を買っておきたかった・・という余談でした。この日は泣く泣く(?)必要なだけの板の枚数を数えて、予算の枠に収まっているのを確認してもらい材料屋さんを後にしました。
その後は、春休みを返上しての製作の毎日でした。
普段の実習では、それほど同じアイテムをまとめて作ることはありません。しかし今回は、一定の精度を整えながら、数もまとめて作るという、集中力の持続が必要な製作になります。学生達にとっては普段よりハードな内容だったと思いますが、いつもと違う緊張感の中に「作る楽しさ」を感じていたようです。そして、3月も終わりごろ、やっと完成した積み木がこちらになります。
2つの積み木は、学生それぞれが「ブロック的な遊び」というお題に対して、それぞれの違ったアイデアからデザインしました。丸棒の方は回転要素があるので、思いもよらない動きをしたりすることもあります。それが作品作りのバリエーションや、ときにカタチ作り難しさにつながっているのが魅力だと思います。凸凹の積み木は、それと比べると仕組みがわかりやすく、直感的に作品作りができるのが特徴です。また、カタチの種類が多いので、ふと、積み木の向きを変えた瞬間、作品の見え方が大きく変わることもあります。より、見立て遊びの要素が深い積み木だと思います。
この2種類の積み木は、まずはしばらく1日交代で大垣公園プレーパークにお披露目される予定です。どちらもそれぞれに面白く、家の玩具にはないサイズ感でダイナミックな遊びが楽しめます。天気の良い、過ごしやすそうな日は、ぜひ大垣公園でこの積み木で遊んでみて下さい!
木工専攻 講師
前野 健