木を活かす職人を育てる(山村資源利用演習 第3回目・その1)
<2022.11.7-8>エンジニア科2年・林産業コースの選択科目「山村資源利用演習」第3回目を行いました。この科目最終回となる今回は、飛騨市へ1泊2日の研修です。
美濃市を出発し、1日目はまず、高山市のオークヴィレッジさんを見学しました。ご案内いただいたのは、制作部の春田部長です。出身の森林たくみ塾では、本校木工の久津輪教授と同期だったとのこと。短い時間にも関わらず、隅々まで見学をさせていただきました。
授業でお世話になったり学生が就職したりなど、アカデミーともとても繋がりが深いオークヴィレッジさんですが、今回初めて伺ったという学生も多かったです。ものづくりから始まって建物づくり、地域や行政との様々なプロジェクト、そして森づくりなど、広くアカデミーの学びが表現されている取り組みに興味津々です。
「木に関わるものは、全て内製している。こうしたところは珍しい」、と春田さん。ものづくりの材料、塗装などの仕上げに至るまで、なるべく自然のものを使うようにしているそうです。「漆塗装」も手がけていて、漆塗装をしたマグカップはスターバックスの「JIMOTO made」にも採用されています。
木工職人と同時に大工も抱え、手掛ける住宅建築の工法については「一部、プレカットがつかわれる」とのこと。つまり、現代には希少な、殆どが大工の手作業による家づくりなのだそうです!東京都の明治神宮内にあるカフェ「杜のテラス」も、同社による建築です。
こうしたこだわりの詰まったものづくりの背景には、創業当時からの会社の理念もあるそうです。例えば、金物はなるべく使わないようにしているのは、「金物は壊れたら、代わりがきかない。木で作ったものは、職人がいれば直せるから」と、春田さんは教えてくれました。
「木を見極め、木を活かす、職人を養成する」という、自身も職人である春田さんの思いと、未来へ向けた視線が印象的でした。
駆け足で広大な施設を見学し、滞在予定時間を大幅にオーバーしましたがやはり時間足らず。「もっと見たい!」「また来たい!」と学生たち。後ろ髪をひかれる思いで、オークヴィレッジさんを後にしました。
春田さん、お忙しい中貴重なお時間をいただき、ありがとうございました!
高山市を出発して、一行はいよいよ飛騨市の奥へと向かいます。(続く)
准教授 小林謙一(こばけん)