木と道具「デジタルファブリケーション」
今年度も、情報科学芸術大学院大学(IAMAS)の小林茂先生とイノベーション工房の伊澤宥依さんにご協力頂き、アカデミー木工専攻とIAMASの連携授業、「デジタルファブリケーション」が開催されました。
昨年、一昨年はコロナウイルスの影響でオンラインでの開催でしたが、ようやく今年は小林先生、伊澤さんにご尽力頂きIAMASのイノベーション工房での実施となりました。普段のアカデミーの設備や環境と違う場所での授業は学生のみなさんにとっても刺激になったのではと思います。
どうしても限られた時間内で製作をする必要があるため、今回は事前に小林先生にデジタルファブリケーションについての講義を収録して頂き、学生のみなさんには授業の前に視聴してもらいました。
レーザーカッターだけではなく様々なデジタル工作機械をご紹介いただき、データさえあれば小ロットでも対応が可能であったり、福祉分野でもニーズに合わせて柔軟に活用されている事例など、今後アカデミーで学んでいる技術と組み合わせることで様々な価値を生み出すことができる可能性を感じました。
今年度のテーマは「木と道具」。レーザーカッターを利用して、普段の生活や木工品などの製作時に必要な道具を作ります。まずは伊澤さんにIAMASのレーザーカッターの使い方、注意点などをご説明いただき、簡単な箱のデータでアクリルの小箱を作りました。
アカデミーには豊富に木の素材がありますが、IAMASではアクリル素材やMDFが多く使われています。環境によって素材の手の入りやすさの違いがあり、学んできた内容にもより同じ加工機を使っても、出来上がってくるものが変わってくると思います。アカデミーの学生は木の特性を学んでいるという強みがあるので、そこを生かした作品作りをしてもらえるといいなと思います。
木やレーザーカッターの特性をわかっているつもりでも思いがけないこともありました。
名刺をヒノキやスギなどを薄くスライスしてできている経木で作ろうとしていて、同じような薄い素材の竹の皮を持ってきていた学生の山﨑さん。竹の皮は凹凸もあるしうまく行かないと思っていましたが、結果的には一番はっきりと文字が見え、いい仕上がりになりました。油分やもともとの素材の硬さなどが影響しているんだと思いますが、先入観にとらわれずまずは試してやってみることも大事だと実感しました。(写真はぼかしてありますが実物はしっかり文字が見えます。)
その他歯車をモチーフにしたドリルビットスタンドなど、木工作業に関わるものなど様々なアイデアの作品ができあがり、小林先生に2日間の講評をしていただきました。
データ作成があったり、レーザーカッターの使い方を覚えないといけないなど、今回の授業時間だけだと深堀りは難しかったと思いますが、普段の木工製作を補足するようなものや、手作業では難しいデジタルデータならではの作品作りのヒントはたくさんあったと思います。こういったジャンルの木工もぜひ深めていってもらえたらと思います。
講義の会場設営や事前レクチャーなど、今年度もたくさんの準備をしていただいたIAMASの伊澤宥依さんと小林茂先生本当にありがとうございました!
木工専攻 講師
渡辺圭