演習林の木材(自力建設2022)
自力建設に使用する木材は全てアカデミー演習林から出てきます。
林業専攻の2年生2人と池戸先生にお願いして、
木造建築専攻1年生6名と一緒に、昨年伐採した現場(製材・乾燥済みの木材の出生地)と今年度伐採予定の施業地を見せていただきました。
まずは今年度の伐採予定施業地の概要を学生が取りまとめた資料を使って説明していただきました。
面積は0.11 haで、主に64年生のヒノキ林。ヒノキ61本、スギ22本です。
胸高直径の平均はヒノキ28cm、スギ32.5cmです。
83本すべての実測データもあります。
樹高の高さを計測するバーテックスも実演してもらいました。開けたところではかなり正確に測定できます。
林業専攻では、このバーテックスの他、森林3次元計測システムOWL(アウル)とも、実際に伐採した材と比較して使い方の分析をしているようです。
さて、胸高直径と樹高がわかれば、今回の伐採される樹木でどのような断面の木材が調達できるかもイメージできます。
樹木は円錐形をしているため、上部に行くほど細くなります。
胸高直径から、玉切りした後の末口径を求める細り表を使って、伐採・玉切りした材がどの程度の末口直径になるのかも説明していただきました。
とは言っても、伐採した樹が全て健全に使用できるとは限りません。
ねじれていたり、腐れが入っていたり、下の写真のようにヒメスギカミキリによって小さな穴が開けられたりと、様々です。
※公開当初、スギノアカネトラカミキリと書いていましたが、ヒメスギカミキリでした。どちらも杉を加害します。
どの程度使用できるかは、今後の製材の授業で体感していくことになるでしょう。
演習林から降りてくると、昨年度伐採し、乾燥されている材も確認しました。
背割りを入れているものや、入れていないもの、材の断面や長さもいろいろです。
このような材の断面やボリュームをイメージしつつ、今年度の課題「木造絵建築倉庫(仮)」計画します。
山から考える建築は、本学でしかできない体験で、制約もありますが、やりがいがあり非常に面白いものです。
夕方には、さっそく第一印象でどのような建物を考えたか、インスピレーション・スケッチを発表してもらいました。
敷地へのアプローチから考える学生や、素材の扱いや建物形状を考える学生、付帯機能から考える学生など、いろいろなスケッチが出てきました。
あと一か月でどのような計画に収斂されていくのか、楽しみにして下さい。
教授 辻充孝